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ウェルスナビ「富裕層並みの資産運用を、働く世代のすべての人に」

2018年08月07日 公開

【経営トップに聞く】柴山和久(ウェルスナビCEO)

【連載 経営トップに聞く】第5回 ウェルスナビ〔株〕代表取締役CEO 柴山和久

 年金や退職金に対する不安などによって、給与所得のある現役時代から資産運用に関心を持つビジネスパーソンが増えている。そんな人たちの注目を集めているサービスの一つが、ロボアドバイザーの『WealthNavi』だ。2016年7月の正式リリースから約1年10カ月が経った今年5月、預かり資産が800億円を突破、申込件数は10万口座を突破した。支持される理由はどこにあるのか? 運営会社ウェルスナビ〔株〕の柴山和久CEOに取材した。

 

人間の「感情の罠」をいかに回避するか

 ――『WealthNavi』とはどういうサービスなのか、お教えください。

柴山 まず、アプリをダウンロードして開いていただくと、「現在、何歳ですか?」「年収はおおよそいくらですか?」などの6つの質問に答えていただくことで、運用プラン診断ができます。

 これは、「○%の確率で投資額○円が○円以上になります」という「未来予想」と、投資を始めた直後にリーマンショックが起こったとしたらどうなるかを示す「過去分析」、そして、何にどれくらいの割合で投資するといいのかという「ポートフォリオ」を示すものです。

 

 

 ポートフォリオは、米国株・日欧株・新興国株・米国債券・金・不動産の6種類、あるいは物価連動債を加えた7種類のETFで構成され、約50カ国の約1万1,000銘柄に分散投資をすることになります。

 それから口座開設をしていただくと、ロボアドバイザーが自動的に資産運用を始めます。

 ――ポートフォリオを決めるアルゴリズムが、御社独自の強み?

柴山 そういうわけではなくて、1990年にノーベル経済学賞を受賞したハリー・マーコビッツ氏が提唱した現代ポートフォリオ理論などに基づいています。世界中の機関投資家やプライベートバンクが使っているアルゴリズムと基本的に同じです。

 ただ、追加投資をしたときにポートフォリオの配分比率を最適に保つ技術で特許を取得するなどして、世界最先端が視野に入るまでにレベルを高めています。

 ロボアドバイザーで資産運用をするメリットは、人間の「感情の罠」を回避できることです。昨年のノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラー氏が専門とする行動経済学が明らかにしているように、人間は投資に向いていないのです。

 人間が投資をすると、「損をしたくない」という気持ちが強いために、合理的な判断ができなくなります。利益を得るためには安く買って高く売ればいいとわかっているのに、値上がりした株を買って、値下がりすると売る、ということをしてしまいがちなのです。また、いったん損をすると、それを取り返そうとして、リスクを大きく取りすぎる傾向があります。ロボットなら、そうした感情によって判断を誤ることがありません。

 ――公開されているアルゴリズムに基づいてロボアドバイザーが運用するというビジネスだと、他社が追随しやすいように思いますが……。

柴山 従来は、資産運用といえば、リタイアした人が退職金を使って始めるものでした。しかし、年金や退職金への不安が強まってきて、働く世代も資産運用に関心を持つようになってきました。

 それなのに、働く世代が行ける時間には、金融機関の窓口が閉まっていて、資産運用を始められません。つまり、働く世代向けの資産運用サービスは、事実上、なかったのです。

 スキマ時間にスマホで手軽に資産運用ができるサービスの登場は、働く世代向けの資産運用サービスという、新しい産業ができたということです。ロボアドバイザーによる資産運用をしている会社は、今、20社くらいあるそうですが、新しい産業を育てていくうえで、参入する会社が増え、市場が活性化するのは、良いことだと思っています。

 

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著者紹介

柴山和久(しばやま・かずひさ)

ウェルスナビ〔株〕代表取締役CEO

1977年、群馬県生まれ。東京大学法学部卒業後、2000年に大蔵省(現・財務省)に入省。ハーバード大学で金融取引法を学び、ニューヨーク州弁護士登録。英国財務省への出向を経て、09年に財務省を退職。フランスのビジネススクールINSEADで金融工学を学び、10年にマッキンゼーに入社。ニューヨークに拠点を置く10兆円規模の機関投資家向けのリスク管理・資産運用プロジェクトに携わる。15年にウェルスナビ〔株〕を設立。16年にサービスを開始した。

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