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定年後、「なんとかならない」時代が到来する!

2018年08月09日 公開
2023年04月04日 更新

井戸美枝(経済エッセイスト)

定年後40年を楽しく生きるための「お金の準備」を!

定年後30年、40年の人生が待っている現代。長く生きることで最大の心配事の一つが「お金」のこと。将来に向けて、私たち40代が今から備えるべきお金のこと、心構えはどのようなものか。人気経済エッセイストの井戸美枝氏に話をうかがった。

 

なんとかならない時代がやってくる!

 人生80年と謳われたのは、もはや過去の話。「これからは100歳までを見据えた『老後資金計画』が必要」と説く経済エッセイストの井戸美枝氏。私たちにはどんな未来が待っているのだろう。

「日本人の平均寿命は伸び続け、世界でも稀に見る超長寿社会なのは知られるところです。人口統計を取り始めた1963年には、100歳以上の高齢者数はわずか153名でした。ところが、2016年には100歳以上の高齢者は過去最多の6万7,000人に。約50年間で400倍以上にまで増えています。

 そして、2016年の統計によると、100歳まで生きる人の9割は女性。90歳まで生きる男性は4人に1人、女性はなんと半分です。まさに、90歳、100歳まで生きることを想定した『老後資金計画』が必要な時代になっているのです」

 今後ますます少子高齢化が予想される中、将来を考える40代は、まずは「年金だけで暮らす」という“常識”を捨てることだと井戸氏は指摘する。

「本来、年金は社会福祉ではなく、定年後の生活のセーフティネット。定年後の生活費の土台にはなりますが、すべてをまかなう制度ではないのです。

 例えば、会社員と専業主婦の夫婦は、定年後に年金だけでは年間100万円ほど不足する世帯が多いと言われています。でも、定年後が20年程度であれば、退職金1,500万円と貯蓄で補って、なんとかやっていけた。

 ところが、定年後の人生が30年に延びれば、不足額は単純計算で3,000万円、40年になれば4,000万円に。これまでと違い、『なんとかならない』時代がやってくるのです」

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著者紹介

井戸美枝(いど・みえ)

ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャル・プランナー、社会保険労務士として数多くの相談にのる他、講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じて、身近な経済問題、および年金や社会保障問題などについて平易に解説を行なっている。著書に『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください! 増補改訂版』(日経BP)など著書多数。

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