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急成長企業・ビズリーチを支える「言葉の力」とは?

2018年10月18日 公開

南壮一郎(ビズリーチ社長)

社員が口にしない言葉をミッションに掲げても意味がない

 即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト『ビズリーチ』、挑戦する20代の転職サイト『キャリトレ』など、これまでになかった転職サービスで人材業界を席巻しているビズリーチ。2009年の創業から10年足らずで、業界屈指の企業に急成長した。そんな同社は、創業2~3年目の時期に、経営理念を明文化したという。経営理念は、企業の成長とどう関わっているのだろうか? 創業社長の南壮一郎氏にうかがった。

 

 

楽天イーグルスで学んだ言葉の大切さ

 南氏が、ミッション・バリュー・クレドなどの「ビズリーチウェイ」を明文化しようと考えたのは、創業2~3年目、社員数がまだ30名程度の頃だった。

「会社がだんだんと組織化される中で、今後の成長を促進するには、そろそろ、『この会社が大事にしていることは何か』を明文化したほうがいい。会社という船が向かう方向や、『なぜこの船が存在しているのか』という理由を旗として示して、誰もが見えるように高く掲げることが必要だと考えました」

 そう考えたのは、前職の楽天イーグルスの初代球団社長・島田亨氏の影響だという。

「島田さんは、『The Baseball Entertainment Company~私たちは、野球を通じて感動を創り、夢を与える集団である』という会社の経営理念や、行動指針など、言葉を非常に大事にしていて、事あるごとに話していました。

 私自身は、転職当初は『経営理念なんてそんなに重要かな?』と懐疑的だったのですが、球団で3年間働くうち、考え方が変わりました。自分たちが信じている根っこの思想を言語化することは、社員が向かう方向性を合わせるうえで、とても大切だと感じるようになりました」

 

きれいごとではなく普段使っている言葉を

 ミッションやクレドをまとめるにあたり、南氏は社員から、「普段、会社でよく使っている言葉」を公募したという。

「ミッションやクレドは、綺麗事や格好良い言葉になってしまうこともあると思うのですが、それは避けたかった。日々、会社の中で皆が使うことが重要だからです。普段使っている言葉でないと、社員に使ってもらえないし、定着もしないと思いました。

 公募した言葉をまとめて、半年ほどかけて話し合い、最終的に創業メンバーの佐藤(和男氏)と二人でまとめました」

 こうして定めたビズリーチウェイは、1度の改定を経て、現在のものになっている。

 

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著者紹介

南 壮一郎(みなみ・そういちろう)

〔株〕ビズリーチ代表取締役社長

1976年、大阪府生まれ。99年、タフツ大学数量経済学部・国際関係学部の両学部を卒業後、モルガン・スタンレー証券〔株〕に入社。その後、香港・PCCWグループの日本支社の立ち上げに参画し、日本・アジア・米国企業への投資を担当。2004年、東北楽天ゴールデンイーグルスの創業メンバーとなる。その後、〔株〕ビズリーチを創業し、09年、即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト『ビズリーチ』を開設。

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