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「働き方改革」が盛り上がる中、三井不動産がシェアオフィスに関する講演会を開催

2018年08月30日 公開
2023年01月30日 更新

『THE21』編集部

長時間労働解消だけではない、これから目指すべき「働き方」とは?

 三井不動産〔株〕は、8月29日(水)、東京ミッドタウン(東京都港区)で、講演会「WORK STYLING EXPO」を開催した。〔株〕ニューズピックスCCO(最高コンテンツ責任者)・佐々木紀彦氏による基調講演「ポスト平成の『働き方』」の後、味の素〔株〕、富士通〔株〕、〔株〕リクルート各社の「働き方改革」担当者によるパネルディスカッション「サテライトオフィス活用から見る働き方改革最前線」が行なわれた。

 

 現在、官民を挙げて取り組みが進められている「働き方改革」。多様な働き方を実現しようというもので、具体的な施策としては、長時間労働の解消を目指すものが中心だ。しかし、労働時間を減らしながらも、当然ながら、企業は業績向上を目指さなければならず、生産性を高めることが重要な経営課題となっている。

 そして、これからの時代の生産性向上は、従来と同じ方法では不可能なようだ。

 佐々木氏は基調講演で、2020年以降、大きく「ルール」が変化すると話した。例えば、平成の時代にはコストを削減する「守り」の姿勢が企業の成長につながったが、2020年以降は「攻め」に転じなければ成長できないとする。それも、昭和の高度成長期のように、やるべきことが明確で、それに邁進する「攻め」ではなく、新たな事業を創造する「攻め」が必要だという。

 また、昭和の「ワーク・アンド・ノーライフ」や平成の「ワーク・ライフ・バランス」ではなく、「ワーク・ライフ・ミックス」の働き方をしている人こそが事業創造ができる人材であり、仕事を通じても、また仕事以外でも、学び続けることが重要だと話した。特に、スキルがすぐに陳腐化する時代なので、複数の専門性を育てる土壌となる「教養」が大切だと強調した。


基調講演をする〔株〕ニューズピックスCCO・佐々木紀彦氏

 

 パネルディスカッションに登壇した味の素の古賀吉晃氏も、同社の働き方改革の目的は単なる労働時間の削減ではなく、社員が会社の外に出て社会課題と接点を持つ機会を増やし、その解決に取り組むことにあると話した。


パネルディスカッションの様子

 

「WORK STYLING EXPO」を開催した三井不動産は、昨年4月から、法人向けシェアオフィス『ワークスタイリング』を展開しており、1年5カ月で200社以上が会員企業となった。今年8月現在、全国に31拠点がある。

 シェアオフィスを利用すれば、営業職などの移動時間を削減することができ、生産性の向上が図れる。リクルートの野口孝広氏によると、シェアオフィスを使う営業チームと使わない営業チームを設定して比較したところ、使うチームの訪問件数は使わないチームの1.2倍だったという。

 三井不動産も、当初は営業職が移動中に『ワークスタイリング』を利用することを主に想定していたが、実際には、利用者に占める営業職の割合は35%で、技術(21%)、事務・管理(20%)、企画(18%)などの職種の利用も多かった。また役職者別で見ても、一般社員33%、係長・主任22%、課長27%、部長17%と幅広い。社内外の人とのミーティングや研修、イベントなどでも利用されていたのだ。味の素では、経営会議を『ワークスタイリング』で行なったこともある。

 また、『ワークシェアリング』を利用する会員企業同士の交流を促進する取り組みも好評だという。

 そこで同社は、8月29日から、「オープンイノベーションサービス」を本格化させた。会員企業の社員同士のマッチングや会員企業のコラボレーションをサポートするのに加えて、様々な専門領域の第一人者を紹介するマッチングサポートも始めたのだ。

 会社でも自宅でもない「サードプレイス」としてシェアオフィスを利用し、業務の効率化に役立てるだけでなく、社員の学びや事業創造の場にもする企業は、これからさらに増えるかもしれない。

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