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通販レジェンドの「伝わる」トーク術とは?

2018年12月09日 公開
2023年03月14日 更新

髙田 明(ジャパネットたかた創業者)

 

ボイスレコーダーに「別の価値」を加える

 髙田氏はまた、話の組み立て方や言葉のテクニックである「スキル」、伝え手の情熱である「パッション」の他に、“なんのために伝えるか”という「ミッション」が不可欠と続ける。

「テクニックと情熱を持って話しても、そこに『なんのために伝えたいのか』という確固たる想いがないと相手には伝わりません。これは『伝える』以前の問題で、まずはその商品を、なぜ、なんのために売りたいのか、伝えたいのかをじっくり考えます。

 なんのために伝えるのか――それは究極的に言えば、受け取った人が幸せな気持ちになるためだと思います。ですから、どんなに良い商品でも、それが、どう人々の幸せにつながるのかが伝わらないと魅力がないですし、もし良い商品なのであれば、その商品をどう提案していけば人々の幸せにつながるのかを考えるのです。

 例えばボイスレコーダーは、取材や会議の際などに声を録音するものですよね。でも、高齢者の方に向けて『ボタンをひと押しして話すだけで声が残せるので、物忘れをしたときでも安心』などと伝えれば、商品に新たな価値が生まれます。先ほどの話にもつながりますが、ただ商品を紹介するだけでなく、相手のことを考え、相手の幸せを考え、商品の先にあるストーリーがわかるように伝えることが重要なのです」

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伝わらないのは本質が見えていないから >

著者紹介

髙田 明(たかた・あきら)

[株]A and Live代表取締役/[株]ジャパネットたかた創業者

1948年、長崎県生まれ。大阪経済大学卒業後、機械製造メーカーへ就職し、通訳として海外駐在を経験。74年に父親が経営するカメラ店へ入社。86年に独立し[株]たかたを設立。90年のラジオショッピングを機に全国へネットワークを広げ、その後テレビ、チラシ・カタログなどの紙媒体、インターネットなどでの通販事業を展開。99年に㈱ジャパネットたかたに社名変更。2015年に社長を退任し、[株]A and Liveを設立。17年より、Jリーグ V・ファーレン長崎の代表取締役社長に就任。近著に『髙田明と読む世阿弥』(日経BP社)。

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