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世界を変える中小企業「インパクトカンパニー」とは何か?

2019年01月17日 公開
2023年07月03日 更新

神田昌典(経営・マーケティングコンサルタント)

ダイソー、ソフトバンク、アップルに共通することとは?

「え? このスピード時代に、本格的成長を始めるのが、創業20年なんて、遅すぎでしょう?」

そう思われるのは、当然。

今や事業を新しく立ち上げても、その寿命は6年程度。20年間も成長が続く事業なんてほとんどないから、「創業20年経ったら、あとは現状維持で精一杯」と、私も考えてきた。

しかし、それは大きな間違いだった。

創業後20年経ってから、本格的な成長を始める会社が多いのだ。

100円ショップのダイソーは、1972年に創業。第1号の直営店をオープンし、チェーン展開を本格化したのは、創業19年目の1991年のことだ。それが今や海外26の国と地域を含め5000店以上を展開、売上は4500億円に成長した。

ソフトバンクも創業20年の時点で、営業利益はなんと240億円の赤字。その後、ビジネスモデルの大転換を果たし、現在は売上9兆円超、営業利益は1兆円超のグローバル企業へと成長した。

他にも、アップル、スターバックスをはじめ、創業20年を経てから、本格的成長を果たしている企業を探しだしたらキリがない。

創業年数と業績向上とは、密接な関係がある。「中小企業白書」の数字などを見てみると、創業20年を超えると、高い利益を安定的に出す「稼げる企業」になる割合が増加するのである。さらに創業後40年以上になっても、「稼げる企業」の比率は増えていく。

 

企業の再成長は「20年目」から始まる!

創業年数が長くなるにつれ、稼げる企業が増える理由を想像するのは難しくない。

創業後20年も経てば、顧客や取引先からの評価も定まり、また業務に慣れた中核社員もいることが多くなる。

その結果、より計画的に経営も進み、財務も健全化する会社が増えていく。つまり、会社は20年の節目に向けて、経営基盤が整えられるのだ。

この傾向を踏まえると、人が20年経って成人するように、法人も20年経って成人するとは考えられないだろうか?

法人も20歳で、成人に─―そう考えることの、メリットは大きい。

この20年間で、社長年齢のボリュームゾーンは、47歳から66歳へシフトした。すでに、ある程度の経営基盤を築いた会社が、ここで意識を切り替え、「いよいよ本領発揮の時が来た!」と挑戦し始めたら、それは、日本の将来に大きな違いを生む。

高齢化社会が進展する過程でさまざまな問題が起こっても、むしろ、それをきっかけに、世界から求められる、新成長事業をいくつも生み出せるだろう。

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著者紹介

神田昌典(かんだ・まさのり)

経営・マーケティングコンサルタント、作家

上智大学外国語学部卒。ニューヨーク大学経済学修士(MA)、ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営学修士(MBA)取得。大学3年次に外交官試験合格、4年次より外務省経済局に勤務。その後、米国家電メーカー日本代表を経て経営コンサルタントとして独立。多数の成功企業やベストセラー作家を育成し、総合ビジネス誌では「日本のトップ
マーケター」に選出。2012年、大手ネット書店の年間ビジネス書売上ランキング第1位。ビジネス分野のみならず、教育界でも精力的な活動を行っている。
主な著書に『2022――これから10年、活躍できる人の条件』(PHPビジネス新書)、『ストーリー思考』(ダイヤモンド社)、『成功者の告白』(講談社)、『非常識な成功法則』(フォレスト出版)など多数。
アルマ・クリエイション株式会社代表取締役。一般社団法人Read For Action代表理事。

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