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「プログラミング」を学べば、考える力が飛躍的に高まる!

2019年03月25日 公開
2023年03月10日 更新

清水 亮(ギリア社長)

体系立った考え方・伝え方の最適な練習法

今や学校教育にもプログラミングが導入される時代だが、「プログラミング的」に順序立てて正確にものごとを捉える考え方は、仕事にも役立つ思考法である。実はプログラミングを知ることそのものが、考える力を高めることに大いに役立つと話す清水亮氏に、プログラミングと思考の関係についてうかがった。(取材・構成=杉山直隆)

 

プログラミングは論理的思考力に直結する

近い将来、必要不可欠なスキルになると言われている「プログラミング」。30代、40代の場合、今から始めてもキャリアアップにはあまり役立たないでしょう。ただし、「思考術」という今回のテーマで言えば、すべてのビジネスパーソンにプログラミングの体験をお勧めします。なぜなら、プログラミングを自分の手でやってみると、様々な角度から「考える力」が鍛えられるからです。

プログラミングに使われる言語は何千種類、よく使われるものでも数十種類がありますが、どの言語に取り組んでも、次のような力が身につきます。

一つは、「論理的思考力」です。

プログラミングとは、物言わぬ機械であるコンピュータとコミュニケーションを取る唯一の方法です。いわば「どのように動いてほしいか」を文章によって指示するわけですが、コンピュータは人間と違って、曖昧な言葉を理解してくれません。自分の思い通りに動いてほしければ、「具体的に、簡潔に、順序立てて」プログラムを書くことが必要です。

つまり、プログラミングを行なうことが、自然と論理的思考力のトレーニングになるのです。

 

仮説と検証のトライ&エラーが簡単

また、「具体的に、簡潔に、順序立てて伝える」ことは、現実の人間同士のコミュニケーションにとっても必要なことです。プログラミングで日々その方法を考えていると、日常の会話でも、具体的かつ論理的に話すことを意識するようになります。取引先や上司、部下などとの会話がスムーズになり、仕事がうまく進むようになるでしょう。指示や依頼をするときはプログラミング的な話し方をしてみてはいかがでしょうか。

プログラミングで身につく二つ目の力は、「仮説を立てる力」です。

プログラミングをするときは、常に「このように書いたら、こう動くのではないか」と仮説を立てます。プログラミングの長所は、その仮説が正しいかどうかがその場でわかること。普通の商品開発や営業などの場合は意外と、当初の仮説が正しいのかどうかわからないものですが、プログラミングは「プログラムが動く・動かない」という明確な結果になって現れます。だから、仮説の間違いに必ず気づけるのです。

こうして、仮設を立てて検証するプロセスを繰り返すことで、精度の高い仮説が立てられるようになります。その思考は、普段の仕事で仮説を立てるときにも応用が効きます。

三つ目は、「限られたリソースを効率よく配分する力」です。

プログラミングでは、限られたコンピュータのリソースを効率よく使って、いかに多くのことをするかが求められます。コンピュータの能力のキャパシティを超えないように、無駄のないプログラムを考えなければなりません。プログラミングの半分は、リソースを管理することといっても言い過ぎではないでしょう。

こうした思考を養うと、普段の仕事でも「いかにリソースを最大限に活用するか」「ムダを減らすか」という観点で物事を考えられるようになります。特に管理職にとっては必要な能力でしょう。

 

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著者紹介

清水 亮(しみず・りょう)

ギリア〔株〕代表取締役社長

新潟県長岡市生まれ。プログラマーとして世界を放浪した末、2017年にソニーCSL、WiL LLC.と共にギリア株式会社を設立、「ヒトとAIの共生環境」の構築に情熱を捧げる。東京大学先端科学技術研究センター客員研究員。主な著書に、『教養としてのプログラミング講座』(中央公論新社)、『よくわかる人工知能』(KADOKAWA)『プログラミングバカ一代』(晶文社)などがある。

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