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人生100年時代の「持続可能性(サスティナビリティ)」のコツ

2019年02月09日 公開
2023年03月10日 更新

<連載>10年後も生き残るために明日からできる仕事のコツ(4・最終回) 河野英太郎(グロービス経営大学院客員准教授)

河野英太郎

コツ5 過剰なストレスを避ける

 体調管理で言えば、メンタル面のケアも重要です。

「パワハラ上司に連日責められている」「複数の部下が次々と問題を起こし、面倒を見切れない」……。

 仕事をしていれば、誰でも1度や2度は、精神的に追い詰められたことがあるでしょう。

 もし、今、その真っ只中で、いつメンタルが壊れてもおかしくないような状態なら、即、逃げましょう。

 戦えばますます状況が悪化しますし、我慢すれば心身が壊れます。選択肢は逃げるしかありません。

 会社を辞めてもいいですし、異動願を出してもいい。物理的に、その問題の人のデスクに近づかないというのもいいでしょう。

 私も、かつての職場で、ある上司に、「お前は体育会系出身だからダメなんだ」「東大だからダメなんだ」と、毎日、今からは変えられないことを責められて、人格否定され続けたことがあります。あまりに言われたので、「俺ってダメなのかな」と思いつめ、心を病みそうになりました。

 そんなときに取った行動が、「とにかく逃げる」ことです。その上司から、物理的に逃げました。立ち寄りそうな場所にはいっさい近寄らなかったぐらいです。すると、私の心が、だんだんと平常心を取り戻していきました。

「逃げたら失業する」と恐れているかもしれませんが、自分の大切な命と引き換えに守らなければいけないものなどありません。

 メンタルが壊れてしまうと、逃げるという判断ができなくなります。少しでも危険だと感じたら、逃げることを考えましょう。

 

コツ6 「自分の弔辞」を考える

 長期間にわたって、働くモチベーションを保ち続けるためには、「人生をかけてやり遂げたいことを見つけ出す」ことが大切です。

 しかし、「やりたいことを見つけたいけど、そんなものはない」という人は多いのでないかと思います。

 そんなとき、お勧めなのが、「自分の弔辞」を考えることです。子供などに、自分の葬式でどんな弔辞を読んでもらいたいかを考えるのです。

 その弔辞の内容から、自分はどんな人生を送りたいかが見えてきます。すると、「自分はこういうことを世の中に残したいんだ」と、やりたいことがわかります。

 

コツ7 ネットで自ら発信する

 長く働き続けるためには、社内だけでなく、社外のネットワークを築くことも大切です。価値観が合い、信頼できる人と多くつながっていれば、刺激になりますし、助け合えるようにもなります。

 ただ、不特定多数の交流会やパーティなどでは、価値観の合う人や自分が求めている人になかなか出合えません。

 それよりもお勧めなのは、ネットで自分の考えを発信することです。

 私の場合は、ブログに、仕事で感じたことや読書で気づいたことなどを、最低週1回は書くようにしています。ブログでなくても、noteやフェイスブック、ツイッターなどでもいいでしょう。

 自分の考えを発信していると、考えや人となりがわかるからか、自分と似た価値観を持った人が集まってきます。

 私も、ブログをきっかけに情報交換するようになった人がいますし、仕事につながったこともあります。

 皆さんもぜひ試してみてください。

 

《取材・構成:杉山直隆 写真撮影:永井 浩》
《『THE21』2019年3月号より》

著者紹介

河野英太郎(こうの・えいたろう)

日本アイ・ビー・エム部長/Eight Arrows代表取締役/グロービス経営大学院客員准教授

1973年、岐阜県生まれ。東京大学文学部卒業。同大学水泳部主将。グロービス経営大学院修了(MBA)。〔株〕電通、アンダーセンコンサルティング〔株〕(現・アクセンチュア〔株〕)などを経て、日本アイ・ビー・エム〔株〕にて、コンサルティングサービス、人事部門、専務補佐、若手育成部門リーダー、サービス営業などを歴任。2017年に〔株〕Eight Arrowsを起業し、代表取締役に就任。著書に、ベストセラーとなった『99%の人がしていない たった1%の仕事のコツ』『99%の人がしていない たった1%のリーダーのコツ』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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