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2030年の自動車市場は「商用車」がリード。しかし「儲けの源泉」が課題に

2019年02月22日 公開

THE21編集部

GAFAからスタートアップまで、競合が続々登場


PwCコンサルティング 自動車・商用車サービスリーダーの早瀬慶氏

 

 2月22日(金)、東京都千代田区のPwCコンサルティング合同会社において、同社の自動車・商用車サービスリーダーである早瀬慶氏によるメディアセミナー「商用車が牽引する将来の自動車業界動向」が行なわれた。

 

 2017年の世界の自動車販売台数のうち、商用車が占める割合は27.0%だが、2030年には52.0%に増えると同社では予測している。その背景にあるのは物流量の拡大だ。モノの移動は、2018年から2030年の間に2.0倍になるという。

 ヒトの移動も1.6倍(2018~30年)に増えると予測しているが、「所有から利用へ」というトレンドがあるため、個人所有の乗用車の一部が社会インフラとしての商用車に代替され、乗用車の販売台数は13%減る(2017~30年)としている。

 では、商用車メーカーはこれから安泰なのかといえば、そうではないと早瀬氏は言う。「CASE+α」に対応しなければならないからだ。

 CASEとは、「Connected(インターネットへの接続)」「Automated driving(自動運転)」「Sharing & Services(シェアリング)」「Electrification & Alternative fuels(電動化)」の頭文字を取ったもの。いずれも乗用車でもトレンドになっているが、商用車では乗用車とは違った意味合いを持つ。

 まず、インターネットへの接続については、収集した車両情報を運行管理に活かすのは当然のこととなり、他社との差別化のためには車両管理や業務管理までする必要が出てきているという。昨年9月、ドイツのハノーファーで2年に1度開催される世界最大の商用車見本市・IAAを視察した早瀬氏は、商用車メーカー各社が最も力を入れているのがこの領域であり、注目度も最も高いと感じたそうだ。ヒトやモノの流れを効率化するMaaS(サービスとしてのモビリティ)の進展のためにも、商用車をインターネットにつなぐことは強く求められている。

 しかし、この領域で利益を上げられている商用車メーカーは、まだないという。インターネットを使ったサービスをいかにマネタイズするか、あるいは、ただの呼び水として他にキャッシュポイントを作るのか、各社が知恵を絞っている。

 自動運転については、ドライバー不足などを背景に社会的ニーズが高いため、乗用車よりも早く法規制の整備がされると、早瀬氏は見ている。特にバスについては、世界各地で実証実験も行なわれている。各社が競い合うというよりも、コンソーシアムを組んで政府への働きかけなどをしている領域だ。

 シェアリングには、車両が走る時間を増やすための「荷主と車両とドライバーのマッチング」、車両が荷物を積まずに走る時間を減らすための「荷主と車両のマッチング」、1回で運ぶ積載量を増やすための「荷物の混載」と、複数の種類がある。現状では、これらに取り組んでいるのは、商用車メーカーではなく、スタートアップ企業や架装メーカーだ。商用車メーカーは、新車販売台数を減らすことになるので踏み出せないでいるが、今年中には参入を発表するところが出てくるのではないか、と早瀬氏は話した。

 最後の電動化は、大型商用車については、まだ技術的に難しい。そこで小型商用車から浸透することになるが、小型商用電気自動車には他業界から参入するプレーヤーが多い。それでも、車体の耐久性やメンテナンスのためのネットワークを持っている点などで既存の商用車メーカーに一日の長があるというが、車検などのアフターセールスの単価が下がり、収益にマイナスの影響が出ると考えられる。

 以上のように、商用車メーカーにとって収益を上げるのが難しくなる状況があるが、これに拍車をかける「+α」が、「小型化」と「サプライヤーや架装メーカーの完成車メーカー化」だ。

 昨年のIAAでは、サプライヤーや架装メーカー、スタートアップ企業などが、「次世代のモビリティ」として、こぞって電動2輪車や電動3輪車を展示していたという。言ってしまえば電動アシスト自転車のようなものなのだが、それを商用で使おうというわけだ。インターネット通販を利用するミレニアル世代(2000年代に成人した世代)の消費者は、「ラストワンマイル」まで届けてくれるだけでは満足せず、「ラストワンインチ」まで求めるようになっているという。それに対応するための「次世代のモビリティ」だ。

 サプライヤーや架装メーカーの完成車メーカー化については、実際に、欧州の大手サプライヤー・BOSCHや大手架装メーカー・KRONEが始めている。

 ユーザーのニーズをつかんでいるという点では、GAFAと呼ばれるITジャイアントや、ユーザーとのインターフェースを持つスタートアップ企業も、商用車メーカーにとって脅威となっている。

 以上のような状況の中で、商用車メーカーは自社の強みや弱みを再定義する時期に来ていると早瀬氏は指摘する。そして、「儲けの源泉」どこに置くかを考え直さなければならない。もはや、クルマを作って売るだけでは立ち行かなくなっているのだ。

 そして、新たな儲けの源泉を作るためには、他社とのコラボレーションやオープン・イノベーションが欠かせなくなっていると話した。



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