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「4月1日より、残業時間に上限が」……って、今まで残業に上限はなかったの?

2019年03月06日 公開

布施直春(労務コンサルタント)

「働き方改革関連法」の目玉「残業時間の上限」

4月1日から施行される「働き方改革関連法」。数々の改正が行なわれる中で一番の目玉とも言うべきものが「残業時間の上限が設定される」というもの。

ただ、これを聞いて、ひょっとしたらこう思った人もいるのではないだろうか。

「え、そもそも残業時間の上限って、今まで決められていなかったの?」

そのあたりを知らずして、今回の法改正の意味は理解できない。労働法の専門家である布施直春氏に、近著『「働き方改革関連法」早わかり』より、「残業時間の上限はどうなるのか」についてうかがった。

 

「残業時間の上限」はこれまでにもあった。ただし……

「働き方改革関連法によって、時間外労働の上限が定められた」という話を聞いた人の中には、

「え、今まで労働時間の上限って決められていなかったの?」

と、思った人もいると思います。

もちろん、そんなことはありません。そもそも「労働基準法」によって、労働時間の上限は以前からちゃんと定められていました。

「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1日に8時間を超えて、または1週間に40時間を超えて、労働させてはいけない」(32条)

使用者、という言葉は、これは労働者を使う側、つまり「会社側」だと理解してください。労働者というのはいうまでもなく、一般のビジネスパーソンのことを指します。

さて、この「1日に8時間、または1週間に40時間」という限度のことを「法定労働時間」と呼びます。

例外として、社員数が10人未満の小さな会社で、卸売業、小売業などの商業や映画・演劇業、保健衛生業や旅客娯楽業などに業種に属している場合、「1週間に44時間」となっています。

ちなみに「10人未満」というのは会社全体ではなく、工場や支店、営業所ごとのこと。つまり、1万人規模の大企業でも、5人だけの支社ならばこの「1週間に44時間」が適用されます。

 

残業の裏に「36協定」あり

これを読んだ多くの人が、「あれ、自分はもっと働いているぞ」と思ったのではないでしょうか。1週間に40時間というのは、週休2日なら1日8時間。44時間だとしても9時間以下です。

実際、多くの会社ではいわゆる「残業」が日常的に行われています。この残業という言葉は、労働基準法的に言えば「時間外労働」、休日の残業は「休日労働」となるのですが、実は両方とも、法定労働時間の考え方からすれば「アウト」なのです。

ただし、二つの条件を満たすことで、法定労働時間以上の労働が可能になり、多くの会社はそれを満たしているからこそ、残業が可能になっているのです。

一つは、法定労働時間外の労働時間に「割増賃金」を払うこと。そしてもう一つが、労働基準法36条による労使協定(時間外・休日労働協定、いわゆる「36(サブロク)協定」)を結び、これを労働基準監督署に届けるということです。

この36協定は一人ひとりが会社と結ぶわけではなく、会社と労働組合の間で、労働組合がない会社の場合、従業員の過半数の代表と締結するということになっています。「そんな協定結んだ覚えはない」という人もいるかと思いますが、実際には一度はどこかで説明を受けているのではないかと思います。

とはいえ、36協定を結べば何時間でも時間外労働が許されるというわけではなく、上限があります。「1カ月間で45時間、1年間で360時間」、これが上限となります。

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