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価値ある農地を次世代へ。和歌山県有田市とリクルートが新たな就農支援スキームの運用を開始

2019年03月16日 公開

THE21編集部

新規就農者・農地提供者・就農者受け入れ農家、それぞれにメリットを


〔株〕リクルート執行役員の柳川昌紀氏(左)と有田市長の望月良男氏

 

 3月14日(木)、東京都中央区にて、和歌山県有田市と〔株〕リクルートによる新たな就農支援スキームの記者発表会が行なわれた。有田市は古くからのみかんの産地として知られるが、後継者不足などの厳しい環境下に置かれ、農業の持続的発展が大きな課題となっている。リクルートは、日本の持続的発展に寄与する活動の一環として地方創生に取り組んでおり、2017年3月に有田市と包括連携協定を締結、「Cheers Agri Project IN ARIDA」プロジェクトを立ち上げている。

 

「Cheers Agri Project IN ARIDA」では、約2年間、みかん生産者の販売力強化や生産性向上策の検証、ブランド確立のための取り組みなどを進めてきた。有田市長の望月氏は、「リクルートと一緒になることで、頑張り方がわかってきた」と話す。発表会に登壇した金嘉農園の酒井能章氏も、「これまでは美味しいみかんを作ることだけを考えてきたが、販売の面でも『攻める農業』になった」と言う。

 今回発表された「AGRI-LINK IN ARIDA」は、さらに「人」の問題にまで踏み込んだ取り組みだ。

 リクルート 地方創生プロジェクトの小林慶太氏の説明によると、有田市のみかん農家のうち、36%が農地削減の意向を持っている。主な理由は高齢化だ。しかし、農地を放っておくと荒れ地になり、隣接する農地に迷惑をかけることから、やめたくてもやめられない農家が多いという。

 一方で、農地拡大の意向を持っているみかん農家も5%いる。ならば、削減したい農家から農地を借りればよさそうなものだが、「やめるんですか?」と聞くのは失礼だし、1度聞いて断られたら2度と聞けないという問題があるそうだ。

 また、新たに就農を希望する人もいるが、そのためには費用がかかる。1年目にかかる費用は569万円(全国新規就農相談センター「新規就農の就農実態に関する調査結果 平成28年度」)で、研修期間中は補助金以外に収入がない状態が続く。研修期間は、1年以上2年未満が43.3%だ(同資料)。

 これら、農地削減の意向を持つ農家、拡大の意向を持つ農家、新規就農希望者それぞれが抱える問題を解消するため、「AGRI-LINK IN ARIDA」では、次のような仕組みを作る。

 まず、農地削減の意向を持つ農家が貸したい農地についての情報を集めたデータベースを作る。そこには、住所や面積、方角、栽培品種などの基本情報だけでなく、販路や収量、単価などの売上げ情報や、こだわっている栽培方法も登録する。農地の価値と農家の誇りもデータベース化するわけだ。そして、それをもとに、農地の適切な賃料を定める。

 農地拡大の意向を持つ農家は、そのデータベースの情報をもとに、農地削減の意向を持つ農家に土地賃借料を支払って、農地を借りる。それとともに、有田市の募集に応募した新規就農者と業務委託契約を結び、技術指導をしたり、地元のコミュニティーに参加する仲介をしたりしながら、売上げの一部を業務委託料として支払う。新規就農者は、1年目から、農地1haあたり年間250万~300万円の収入を得られるという。

 業務委託契約は毎年更新され、2年間を想定している。その後は、農地を貸す農家と直接、契約を結ぶことになる。

 直近まで耕作されていた農地がそのまま引き継がれることや、農家ごとに違う栽培方法まで引き継がれることも、このスキームの大きなメリットだ。

 農業の人手不足問題を解決するブレークスルーとなることが期待される。



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