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真夜中の大事故。そのとき、ウガンダの人たちは……?(ウガンダ3)

2019年03月18日 公開
2021年08月23日 更新

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(43)石澤義裕(デザイナー)

丑三つ時のウガンダにて


ローカルファッションショーのモデル。移民したオランダ人がパーティを主催。主役は地元ウガンダ人ですが、来賓は欧米人。

丑三つ時の赤道直下、ウガンダ。

タクシーに乗っていたら、酔っ払い運転の車が突っ込んできて、ほぼ正面衝突。

我が家存亡の大事件が勃発です。

妻Yukoは顔面血だらけで横たわり、ぴくりとも動かぬスプラッター。

こいつはあかん……、と思ったものの、この時はまだナニが起きたのかもよくわからず。

朦朧とする意識のなか、道路の真ん中まで這い出て、

HEEEEEEEEEEEEELP!

自分史上最高にテンパっていたわけですが、救急車をAmbitious!と叫ぶ寸前で思いとどまったのは、せめてもの幸いです。

 

親切かつ商売上手なタクシー運転手

翌朝、うわごとを言い続ける半死半生のYukoをベッドに残して、警察署へ。

付き添ってくれたのは、昨夜ボクらを救急病院へ運んでくれたタクシーの運転手です。

この日から3日間、警察、病院、宿、その他の送迎にとどまらず、諸手続きのサポートをしてくれたのが、彼です。

頼みもしないのになんて優しい人なんでしょうと、涙を流さんばかりにお礼をする寸前、タクシーの貸切料金を請求されたので、人情と営業の境目は難しいものです。

いずれにせよ、彼の証言とサポートがあったからこそ、このアウェーの地で滞りなく被害届けを作成できたのです。

感謝感激を捧げると同時に、情けを売り上げに換えた手腕に感心し、うらはらにウガンダ警察の体たらくもまた感慨深いものです。

流行作家の高速執筆をしのぐ、芸術的な書類作成技術。

情や真実にほだされない頑固さは、ピンポイントに誤りを指摘されても決して正さず、謝らず。

赤道直下ですが、日出ずる国の首相と似ています。


ひょうたん売りの少年。いろんなポーズでひょうたんを口にして、売り込みます。買わなかったけれど、がんばっ!

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著者紹介

石澤義裕(いしざわ・よしひろ)

デザイナー

1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。新宿にてデザイナーとして活動後、2005年4月より夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。

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