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「Please」は使うな!グローバルエリートの「英語で伝える技術」とは?

2019年04月01日 公開
2023年03月10日 更新

戸塚隆将(ベリタス代表取締役)

たった1%の「伝え方の違い」が大きな差を生む

今や日本にいても外国人とのコミュニケーションが欠かせなくなっている。では、英語で「伝える」際に注意すべきこととは。ゴールドマン・サックス、マッキンゼーにて活躍し、近著『1%の違い 世界のエリートが大事にする「基本の先」には何があるのか?』にて英語でのコミュニケーションのコツを明かしている戸塚隆将氏に、英語での「伝える力」について教えてもらった。

 

「ペラペラを目指す」のがそもそもの間違い

私たちは英語が「ペラペラ」になることに憧れる。だが、それがそもそも間違いなのだと、戸塚氏は指摘する。

「たしかに、ネイティブの英語を耳にすると、『かっこいいなぁ』と聴き惚れてしまうこともあります。しかし、ネイティブのような英語力を、ネイティブでない私たちが習得するのは土台無理なことだと認識すべきでしょう。ノンネイティブは、ネイティブには一生なれないことを早い段階で自覚し、別のゴールを設定する必要があります。

ノンネイティブが目指すべき英語力のゴールには四つのキーワードがあります。それは『意見』『論理』『堂々』『シンプル』。つまり、明確な意見、それを支える論理、それらを大きな声で堂々と、シンプルな表現で話すことです」

戸塚氏がそう考えるようになったきっかけは、ゴールドマン在籍時に出会ったある日本人上司の存在が大きいという。

「この方は帰国子女ではなく、日本で教育を受け、日本で就職をしています。20代になってから本格的に英語の勉強を始め、30歳前後で留学をされました。

その方はノンネイティブとして英語を習得されたので、ネイティブスピーカーのような英語を使うわけではありません。ただ、明確な意見を、論理的にシンプルな表現を使って、大きな声で相手の目を見てゆっくりと話す。その堂々とした姿は、存在感で他を圧倒していました。私たちの目指すべき英語は、まさにこのような姿です」

 

ネイティブのスピードに引きずられてはいけない

では、具体的にどんなことを意識して話せばいいのか。まず心がけるべきは「話すスピード」だという。

「ネイティブスピーカーと英語で話すとき、私たちはつい、相手の話すスピードに合わせてしまいがちです。ただ、ネイティブと同じペースで話すのは容易ではありません。相手に合わせているうちに自分が何を言ってるのかわからなくなり、焦ってしまうことになります。

リスニング力を高めることは訓練すれば誰でもできますが、英語を話すことに関しては、私たちノンネイティブは限界があることを知るべきです。

ネイティブのようにペラペラとスピード感を持って話すことより、前にお話しした四つのキーワードに磨きをかけることを優先したほうがいいでしょう。明確な結論とそれを支える根拠がしっかりある主張なら、日本語アクセントの残る英語でも、会議で存在感を発揮することは可能です」

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著者紹介

戸塚隆将(とつか・たかまさ)

ベリタス代表取締役

1974年、東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。ゴールドマン・サックス勤務後、ハーバード経営大学院(HBS)でMBA取得。マッキンゼーを経て、2007年、ベリタス株式会社(旧シーネクスト・パートナーズ株式会社)を設立、代表取締役に就任。
同社にて企業のグローバル人材開発を支援するほか、HBSのケーススタディ教材を活用したプロフェッショナル英語習得プログラム「ベリタスイングリッシュ」を主宰。グローバル人材を輩出し続けている。著書に『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』(朝日新聞出版)等がある。
ベリタス株式会社
http://www.veritas-english.jp/company/
ベリタスイングリッシュ
http://www.veritas-english.jp/

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