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小豆島のオリーブ農園・井上誠耕園が松坂屋上野店に東京初出店

2019年04月06日 公開

井上智博(井上誠耕園園主)

栽培から加工、販売まで一貫した商品作りで、オリーブの魅力を伝える

 

 瀬戸内海の小豆島でオリーブと柑橘の農園を経営し、オリーブオイルをはじめとする食品やオリーブを使った化粧品などの製造・販売もしている〔有〕井上誠耕園が、3月28日(木)、松坂屋上野店に東京第1号店をオープンした。園主の井上智博氏に話を聞いた。

 

 ――東京店オープンの目的はなんでしょうか?

井上 当社は、オリーブや柑橘の魅力、また農業の大切さを商品に込めて、通信販売で発信してきました。しかし、通信販売だけでは限界があるので、リアルな店舗でお客様に商品に触れていただき、今まで以上に商品の魅力をお伝えできればと思っています。

 東京は日本最大の消費地ですし、通信販売の会員にも東京の方が一番多い。東京の中でも松坂屋上野店を選んだのは、催事という形で色々な百貨店で1~2週間のイベント販売をしてきた中で、最もお客様の反応が良かったからです。

 12月には渋谷店もオープンします。渋谷は若者が中心の街ですが、東急不動産がもう少し年齢の高い方も集まれる街に変えようと取り組んでいる中で、当社にもお声をかけていただきました。

 ――顧客には女性が多いのでしょうか?

井上 そうです。上野店のお客様の年齢層は、通信販売と同じ、70歳前後を想定しています。

 ――上野店があるのは、「上野HA・NA・RE」という売場です。

井上 ビューティー&ウェルネスの売場だとお聞きしています。当社の商品には、化粧品だけでなく、食品もありますが、食べることで美容や健康につながる商品ですから、松坂屋からもこのコーナーを勧めていただきました。

 ――このタイミングで出店した理由は?

井上 香川県外にリアル店舗を出したいということは前々から考えていて、海外では2016年にシンガポールに出店しています。国内では香川県外になかなか出られていなかったのですが、ご縁があって、社内的にも人材が育ったということもあり、今回、出店しました。

 ――店舗で働かれる方は、小豆島から?

井上 そうです。小豆島で採用して、4~5年間、小豆島で勤めていた社員です。私どもは、商品だけでなく、地域の魅力も売っていますから。

 店頭に小豆島の写真パネルを置いているのも、お客様に「小豆島に行ってみたいな」と思っていただけるように、です。

 当社の根幹にあるのは、農業による地方の活性化です。もともと大工稼業をしていた私の祖父が、農業で地域を豊かにしようと農業を始めたのが、当社の創業なんです。日本では第1次産業の衰退が著しいですが、第1次産業で地域を豊かにできるはずだという想いが根幹にあります。

 ――他社のオリーブの商品と御社の商品との一番の違いはなんでしょうか?

井上 栽培から一貫した商品作りです。小豆島は日本で初めてオリーブ栽培に成功した土地で、それから約110年になります。当社は私が3代目で、70年以上の歴史があります。オリーブの商品を扱っている小豆島以外の会社は、販売だけをされているところが多いんじゃないでしょうか。栽培から加工、販売までを通じてオリーブの魅力を発信している点では、どこにも負けないと思っています。

 ――小豆島の中での、御社の特長は?

井上 オリーブオイルの絞り方にもこだわっていますし、それを商品化するときの魅力のつけ方も、他社に負けないつもりでやっています。

 ――上野店に並ぶ商品の中でも、特に御社ならではの特長のある商品は?

井上 美容については、エッセンシャルオリーブオイルの美容液です。同じ1本のオリーブの木でも、私たちが「天成(てんな)り」と名づけた天頂部の実と、「懐成(ふところな)り」と名づけた中間部の実と、「裾成(すそな)り」と名づけた下のほうの実では、成分が違うんです。天成りは、熟すのが早く、オイルの量も、オイルに含まれるポリフェノールの量も多い。それだけを摘んで絞った極上のオリーブオイルで美容液を作っています。世界的にも、こんなことは他ではやっていないのではないでしょうか。

 私は幼少の頃、霜焼けやあかぎれがひどくて、それを見かねた母が、風呂上がりによくオリーブオイルを塗ってくれました。ですから私は、オリーブオイルは食べるよりも塗るものだという気持ちが強い。それで、美容液としての究極のオリーブオイルを追求して作りました。

 また、オリーブの実は、熟し始めると2週間で、濃いグリーンから淡いグリーン、それから赤みを帯びて黒へと、色を変えていきます。色とともに、オイルの量も性質も変わります。熟したほうが芳醇になるというイメージがあるかもしれませんが、実は、完熟するとポリフェノールが減り、風味が弱くなります。そこで、早摘みのオリーブだけを絞った「緑果オリーブオイル」を作っていて、それが食品でのヒット商品です。

 ――12月に渋谷店を出されるということですが、今後の販売面での展開の予定は?

井上 上野店は地域密着で、通信販売のお客様にさらにオリーブの魅力を伝えるための店舗にするのに対して、渋谷店では、その目的もありますが、新規のお客様の獲得を目指しています。この2店舗の様子を見ながら、次の店舗の展開を考えたいと思います。大阪や札幌、名古屋、福岡など、各地の大都市に出店できれば、と思っています。

 また、4月5日(金)には、名古屋の名鉄百貨店本店の一角にバルを出店します。小鉢のピンチョスにオリーブオイルをかけて食べていただくお店です。

 オリーブオイルを使ったマッサージやエステの店舗の展開もできれば、と思っています。



著者紹介

井上智博(いのうえ・ともひろ)

農業法人〔有〕井上誠耕園園主

1964年、香川県小豆島町生まれ。84年、大阪のビジネス専門学校を卒業し、神戸中央卸売市場内の仲卸に就職。89年、小豆島に帰郷して就農。97年、農業生産法人(当時)として有限会社化。99年からオリーブ化粧品の販売、シリーズ化を開始。2005年、実が熟す前の若いオリーブだけを使った「緑果オリーブオイル」を販売。

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