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【今週の「気になる本」】『優れたリーダーはみな小心者である。』

2019年04月19日 公開

荒川詔四著/ダイヤモンド社

 こだわりがにじみ出る芸術的なタイトル

「優れたリーダーはみな小心者である。」
このタイトル思い出すたびに、そのタイトル付けに注ぎ込んだこだわりを勝手に想像し、感心してしまいます。

『THE21』に異動する前に、書籍を制作する部署にいました。
そこで、何回か耳にしたのが、書籍のタイトルは「驚きと共感」が大事だということ。
ただ「驚き」があるだけでは、インパクトはあるけれど、購買には結びつかない。
逆に「共感」だけでは、「ふーん」という程度の興味しか持たれず、これもまた購買に結びつかない。そういった趣旨で語られていた言葉でした。

この「驚きと共感」という観点からすると、「優れたリーダーはみな小心者である。」というタイトルは秀逸ではないかと思います。

一般的に抱かれる理想のリーダー像は力強くて自信に満ちあふれ、部下を引っ張っていくようなイメージではないでしょうか。しかし、このタイトルは優れたリーダーというのは、実は内向的で、小心者なのだと逆のイメージを語ります。
ここに「驚き」があります。

また、少し深く考えてみると、実際に数多いるリーダーのほとんどが豪放磊落なわけはない。
自分たちが知らないだけで、本当に優れたリーダーは、周りの人の感情に心を配り、不安を感じながら事を進める「繊細さ」がないとビジネスは上手くいかないのではないかと思い至ります。
ここに、タイトルに対する、なるほどという「共感」が生まれている。

そして、自分がどうにも小心者で、このままでは大きな仕事、昇進もままならないのではないかと不安に思っている人にも、「本当に優れたリーダーは実は自分と同じなのだ」と思わせる安心感を含んだ「共感」も生まれていると思うのです。

「驚き」と「共感」の共存。さらにダメ押しで言うなら、頭の中で唱えてみたときに心地いい、「語感の良さ」みたいなものも考えられている気がします。

上記の要素が、考え尽くされたうえで、タイトルの1行に表現されている。なにか芸術性すら感じてしまうのです。
肝心の内容も、もちろんおもしろいです。著者は世界的企業・ブリヂストンの元CEOとして、活躍されてきた実体験を語ってくれるのですから、説得力がないわけはありません。

ぜひ、落ち込んだり、不安にさいなまれたりしているときには、勇気をもらえるので、手に取ってみてください。

タイトルについては、勝手な想像です。もし、とんでもなく豪快な編集者さんが、とんでもなく豪快な肉の塊なんかを食べながら、「これでいく!」と2秒くらいで即決されていたら、すいません……。

執筆:N/I



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