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AIは結局、あなたの仕事の敵か味方か?文系でもわかる「AI活用」の基礎知識

2019年04月22日 公開
2023年03月07日 更新

斎藤広達(シカゴ・コンサルティング代表取締役)

メルカリの「簡易AI」が拓く大きな可能性

私が注目している例として、メルカリのAIがあります。

これは、出品したい品をスマホで撮影すると、その画像をAIが自動的に判別して、商品名やカテゴリー名など、入力すべき基本情報のうち、いくつかの候補が表示されるというもの。ユーザーは入力の手間が省け、出品のハードルが下がります。

AIは画像認識が得意ですが、その応用です。膨大な出品写真(画像)、商品名、カテゴリー名、定価といった情報をすべてAIに食べさせることで、判定・予測モデルを作るのです。

具体的には、ある出品商品の写真から、「これはカバンである確率が80%、A社のBという商品の確率が75%」などと予測結果が返ってきます。この結果を使って、入力情報のいくつかに、候補を提示するというわけです。

もちろん、すべての項目が必ず正しく埋まるとは限りませんが、ゼロからすべてを入力する手間と比べたら圧倒的に楽です。

このように、最初から完璧なものを目指すのではなく、あくまで簡易的なAIとして割り切って機能提供をする。メルカリの事例を見ると、こうした使い方に可能性を感じます。

メルカリに出品される商品数は膨大ですし、ユーザーが撮影する商品写真はプロが撮った写真とは違います。予測の精度が100%になることはありません。ただ、間違っていたら入力者が修正すればいいだけの話です。

自動運転など、命に関わる分野でのAI活用では、ケタ違いに高い精度の予測が必須ですが、ビジネスの現場ではケースバイケースで使い方を考えればいいのです。

 

「不審者の行動」をAIが判定する?

画像認識を使った少々シリアスな事例としては、店舗での万引き防止や、公共施設での不審者の発見などがあります。不審者の特徴的な行動パターンのデータをAIに食べさせることで、予測モデルを作れます。

必要以上にキョロキョロしたり、同じ売り場を何度も行き来するなど、不審者には独特の行動パターンがありそうです。こうした行動を特定し、その重みが計算できれば、「この人が不審行動を起こす確率は80%」などと予測できるのです。

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