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「微表情」から相手の口に出さない感情が読み取れる

2019年05月14日 公開
2023年03月02日 更新

清水建二(空気を読むを科学する研究所代表)

ホンネはほんの小さな顔の動きに表れる

 私たちは人と話をしているとき、相手の表情を見て反応をうかがっている。しかし、愛想笑いなどによって、表情を読み間違えてしまうこともある。そのために、「喜んでいると思ったのに、まさか怒っていたとは……」と後悔したりすることも。しかし、「微表情」に気づければ、そんな事態は避けられると清水建二氏は話す。

 

愛想笑いをしても微表情は漏れ出してくる

 人の感情は、無意識のうちに、微細な顔の動きに表れます。これを「微表情」と呼んでいます。

 ネガティブな感情は、大人であれば、普通はそのまま表に出すことはしません。特に日本人は、愛想笑いによってネガティブな感情が表情に出ないようにする傾向が強い。それでも微表情は、愛想笑いから漏れ出てきます。

 写真1は、両側の口角が上がって笑っているようにも見えますが、ホウレイ線が釣鐘型(逆U字のような形)になっているなど、「嫌悪」の微表情が表れている例です。

 


写真1

 

 微表情が表れるのは、従来は0.2秒間だとされていましたが、最近の研究では0.5秒ほど表れるものが多いとされています。ですから、注意深く相手の顔を見ていれば、見逃さずに読み取れることが多いはずです。

 実際、私たちが行なっている研修で、映像を見せて微表情を読み取ってもらうトレーニングを1時間集中して行なうと、正解率が平均で40%から80%へと上がります。

 これまでの研究で、「幸福」「軽蔑」「嫌悪」「怒り」「悲しみ」「恐怖」「驚き」の七つの感情の微表情は、万国共通であることがわかっています。また、おそらく万国共通だろうと考えられている微表情は、この他にもあります。

 

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著者紹介

清水建二(しみず・けんじ)

〔株〕空気を読むを科学する研究所代表取締役

1982年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でコミュニケーションを学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。現在、官公庁や企業で研修・コンサルティングを行なう一方で、ニュースやバラエティ番組で政治家や芸能人の心理分析をしたり、テレビドラマの微表情監修をしたりと、メディアでの実績も多数。著書に、『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』(飛鳥新社)、『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』(フォレスト出版)、『ビジネスに効く 表情のつくり方』(イースト・プレス)がある。

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