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乱立するキャッシュレス決済サービス。結局、生き残るのは?

2019年05月08日 公開
2023年03月02日 更新

山本正行(山本国際コンサルタンツ代表)

 

キャッシュレス決済は無人決済店舗へ向かう?

 スマホ決済は、今は注目されていますが、いずれ状況が変わるかもしれません。その未来を見据えているのが、アマゾンが運営する無人決済店舗「Amazon Go」です。

 利用者は、スマホでAmazon Goアプリを起動させ、表示されたQRコードをゲートにかざして入店します。そのあとは、欲しい商品を手に取って、そのままゲートを通って退店するだけ。決済は自動的に行なわれます。

 アマゾンもAmazon PayというQRコード決済サービスを提供していますが、本命はAmazon Goなのではないでしょうか。

 

セキュリティを事業者任せにしてはいけない

 今年10月に予定されている消費税引き上げのあと9カ月間は、中小小売店などでキャッシュレス決済をすると、代金の5%がポイントとして還元されるようになります。政府がキャッシュレス決済を後押しすることを、国民の目にはっきりと見える形で示した、初めての施策です。

 これを機にキッシュレス決済をもっと利用しようと思うけれども、セキュリティが気になる、という人もいるでしょう。セキュリティに不安を感じる人は、日本人には特に多いようです。

 そこで、最後に、セキュリティの考え方についてもお話ししましょう。

 確かに、セキュリティの問題はあります。しかし、例えばクレジットカードなら、不正使用を検知したり、被害を補償したりする仕組みが作られています。QRコード決済でも、クレジットカード支払いにすることができるものがありますし、経産省もセキュリティ対策に動いています。

 また、現金も、盗まれたり、落としたりすることもあるわけですから、セキュリティが万全だとは言えません。

 結局、キャッシュレス決済も現金と同じで、不正利用されないよう、自分で気をつけることが不可欠なのです。サービスを提供する事業者が対策をするのは当然ですが、それに頼って「安全神話」を信じてはいけません。

 

《『THE21』2019年4月号より》

著者紹介

山本正行(やまもと・まさゆき)

山本国際コンサルタンツ代表

1963年生まれ。東京都出身。2009年に山本国際コンサルタンツを設立。あらゆるキャッシュレス決済サービスの仕組みやビジネスを専門にコンサルタントとして活動。行政のアドバイザーなども務め、法制度にも詳しい。日本経済新聞社運営のWebサイト「リテールテックJAPAN」のキャッシュレスに関するコラムの他、専門誌への執筆も多い。近著に『カード決済業務のすべて』(金融財政事情研究会)、監修書に『60分でわかる! キャッシュレス決済 最前線』(技術評論社)がある。

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