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タカミヤ「建設業界にイノベーションをもたらした『次世代足場』市場の創造」

2019年06月07日 公開

【経営トップに聞く】髙宮一雅(タカミヤ会長兼社長)

【連載 経営トップに聞く】第18回 〔株〕タカミヤ代表取締役会長兼社長 髙宮一雅

 

 建設工事用の足場を扱う〔株〕タカミヤは、この業界では珍しく、東証1部に上場している。また、同業他社には足場をレンタルするだけのところが多い中、タカミヤは製造・販売まで手がけているのも特徴だ。しかも、「次世代足場」という、従来とは違う足場を生み出して、市場のルールを大きく変えた。常に時代の先を進むタカミヤの会長兼社長・髙宮一雅氏に話を聞いた。

 

2019年3月期に大きな増収増益となった理由は?

 ――2018年3月期は前の期に比べて減収減益でしたが、19年3月期は大きな増収増益が予想されています(取材時は決算未発表)。要因はなんでしょうか?

髙宮 15年3月期~17年3月期の中期経営計画で行なった設備投資の回収に、本格的に動き出していることです。

 ――設備投資というのは、「次世代足場」の『Iqシステム』のことですか?

髙宮 メインはIqシステムです。

 ――Iqシステムに投資をした理由はなんでしょうか?

髙宮 第一は安全性の向上です。2015年の産業別死亡事故を見ると、3分の1を建設業が占めていて、トップなんです。足場からの転落事故が多いためです。どう転落防止をするかが、業界の長年の課題でした。

 従来は安全部材を増やしてきたのですが、安全部材を増やすと、作業や運送の効率が悪くなってしまいます。安全とともに、省力化も我々のミッションの一つですから、これではいけない。在来型の足場の延長線上で考えていては抜本的な改善にならないので、7~8年前から、根本的に見直すことを考えていました。

 そして、17年3月期までの中期経営計画のうちに、在来の足場をすべて処分して、時代に合った新たな足場を開発し、導入することを決めました。フレームだけで100億円、床材なども入れると全部で200億円ほどだと思いますが、それだけの投資をして、足場機材を短期間で入れ替えることにしたのです。

 ――なぜ、そのタイミングだったのでしょう?

髙宮 足場のレンタルという事業は、足場の減価償却を早く済ませて、償却が終わった足場を繰り返し貸すことで利益を大きくする構造になっています。ですから、イノベーションのための投資がされてこなかったのですが、そのままでは、古くなった足場を使うことで発生する危険な場面もありますし、価格も上げられません。

 また、民主党政権時代に公共事業が減り、将来にわたって少子高齢化も進む中で、生き残るためには、他の分野に参入するか、今までのやり方を見直して、付加価値の高いビジネスをするしかない。

 そう考えて色々な取組みをしているところに、アベノミクスで流れが変わり始めたので、「ここで一挙に攻めよう」と考えました。

 ――回収できるという確信があって、投資したのでしょうか?

髙宮 利益が確保できるという保証はありませんでした。ただ、お客様に使っていただけば、他にはない価値のある商品であることを理解していただけるという確証は、自分の中に持っていました。

 まずは使っていただくことが大切なので、回収を急いで価格を上げるわけにはいきません。在来の足場と同等の価格でご提供することにしました。それでも利益を出すために、商品アイテム数を絞り込んだり、運用効率を上げたりして、管理コストを下げました。また、それまで扱っていた足場は、アベノミクスのおかげで需要があるので、スクラップにせずに売却しました。

 こうしたことによって、大きな設備投資をしながらも業績は維持できる計画だったのですが、想定外のことがあって、17年3月期までの中期経営計画は尻すぼみの結果になってしまいました。

 ――想定外のこととは?

髙宮 アベノミクスの追い風を受けながら、東京オリンピック・パラリンピックに向けて色々なプロジェクトが進むだろうと見据えていたのですが、労働者不足によって工事が進まなかったことです。また、建設資材の価格が上昇し始めたのに、下請けに当たる当社は、お客様に対して価格を転嫁できませんでした。

 ところが、昨年の春先頃から、ずいぶん状況が改善されてきました。設備投資は既に終えていましたから、先ほど申し上げたように、本格的に回収に動き出し、利益を大きく出すことができています。その1年目が19年3月期です。

 ――「状況が改善されてきた」というのは?

髙宮 労働者不足に関しては、全体としては、いまだに変わっていません。人手が足りないことが各現場でネックになっていて、今後もネックであり続けるのは間違いないでしょう。ただ、我々が受注しており、工事が遅れていた現場に、他の現場から労働者が来ているのだと思います。どんな現場にも、「いつまでに終えなければならない」という期限がありますから。

 価格については、昨年10月から改訂を始めています。もちろん、お客様としては価格が上がるのは嬉しくはありませんが、Iqシステムを使っていただいたお客様には「もう、これでなくては嫌だ」という声を多くいただいています。「Iqシステムはずっと品不足で、この価格でなければご提供できません」とご説明して、理解をしていただいています。

 

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現場での仕事のしやすさと運用コストを追求した『Iqシステム』 >



著者紹介

髙宮一雅(たかみや・かずまさ)

〔株〕タカミヤ代表取締役会長兼社長

1966年、大阪府生まれ。92年、エスアールジータカミヤ〔株〕(現・〔株〕タカミヤ)入社。2002年、代表取締役社長に就任。05年、ジャスダックに上場(08年に上場廃止)。07年、東証2部に上場。14年、東証1部に指定。17年より現職。

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