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【今週の「気になる本」】『洗えば使える泥名言』

2019年05月17日 公開

西原理恵子/文春文庫

泥を落とせば、目の覚めるような「金言」が現われる

普通極まりない平凡な人生を送ってきた私にとって、破天荒なロックミュージシャンは神に等しい。

崇拝する彼らの言葉ともなれば、日めくりにしてトイレ飾っておきたいくらいだ。

(思いつきだけど、ロックミュージシャンの日めくり、売れそう)

 

例えば、薬漬けになって病院から退院したローリングストーンズのギタリストキースリチャーズが放った言葉がこちら。

 

「やった、元気になった!これでドラックができる!」

 

奥深い。もとい、意味がわからない。だが、それがいい。

大体、ありがたがるものって、「よくわからないもの」だし。

強引に解釈すれば、元気があってこそ、なんでもできるということだと思う。

異論は認める。

 

ロックで破天荒な人生を送っている人の言葉には、独特の凄みがある。

今回紹介するのも、そんな書籍である。

西原理恵子氏の『洗えば使える泥名言』だ。

西原氏の人生については、私が語らなくとも多くの方がご存じだろう。

ひと言で言えば「波乱万丈」だ。

 

本書は、偉人やビジネスの成功者のような良い刺激になる本ではない。

どちらかというと、ゲスだし、身も蓋もないし、言ってしまえば救いがなかったりする。正直に言って品のいい本だとは言えない。

 

だが、それが「ディモールト」いい。最高だ。きれいごとだけでは暮らしていけないし、ときには図太く生きる大切さが、ひしひしと伝わってくる。

また、「悲惨な境遇や周囲のヤバさを笑いや教訓に変える姿勢って大事だな」とも思える。

 

例えば、こんなエピソードがあった。

 

「6はないか、6。ないなら4でもいいぞ」

 

ある編集者が、『五体不満足』が売れたとき、より障害の重い人を探せと部下に放った言葉だそうだ。

 

ひくわ。最低だ。ヤベーやつがいる。普通はこんな反応で終わるだろう。

 

だが、西原氏はここで終わらない。ここまで徹底的にクソな人間だから、お金になるものへの嗅覚が磨かれていくのかという分析までしっかり行なっている。

倫理的か否かで判断せず、一度目の前の出来事を自分の中で咀嚼している点に、波乱万丈な人生を通じて度量が大きくなった西原氏ならではの、ものの見方が感じられる。

表面上の「良い・悪い」「損・得」だけで人や出来事を判断(断罪?)して終わる今日この頃である。なんと心の狭き世の中か。

だが、かくいう私も心の狭さなら右を出るものはいないと自負している。

人の好き嫌いは激しいし、人間関係でイライラするのはしょっちゅうだ。

だからこそ、自分が小さいなと思ったらこの本の角で自分の頭を殴りたい。いや読む。

この本にある言葉は、洗えば何とか使える名言じゃない。

汚れつちまった日々に眠る金言だと、私は思う。

 

 執筆:S/N(THE21編集部)



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