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10年後を予測!これから伸びる業界、沈む業界

2019年07月22日 公開

中原圭介(経済アナリスト)、長谷佳明(野村総合研究所 上級研究員/ITアナリスト)

あなたの仕事・業界は大丈夫なのか?

少子高齢化、AIの発達により、日本社会は大きな転換点を迎えている。このまま働いていて、自分の会社・仕事は大丈夫なのかと不安に思う方もいるだろう。経済アナリストの中原圭介氏とITアナリストの長谷佳明氏に業界予測をしてもらった。

 

これからの仕事はどうなるのか

スキルを複数組み合わせて、付加価値を高めよう

技術の進歩が著しい時代においては、1つのスキルだけで最前線で働き続けるのは難しい。色々なスキルを身につけて、状況に合わせて職を変えていく働き方が一般的になるだろう。以前は1つのスキルを身につけるのに10年以上かかったが、今はAIと組み合わせれば3年ほどで取得できる。スキルの組み合わせで自分自身の付加価値を高めていくことが大切だ。(中原氏)

これまではコンピュータで代替することが難しく、比較的高収入を得られていたホワイトカラーの業務が、AIやロボットで代替可能になっていく。ただし、すべての業務がAIに置き換わるのではなく、人とAIがそれぞれ得意な領域を担当しながら、生産性や品質を高める方向に向かっていくだろう。また、技術的には代替可能でも、企業の規模によっては、AI導入のための投資が可能な企業とそこまでの余裕がない企業があるため、業務がAIに完全に置き換わると一概には言えないところもある。(長谷氏)

 

自動車・製造

電気自動車の普及・ロボットの自律化で人員削減の厳しい時代へ

製造業が目指す究極の姿は、自動化の先にある「無人化」である。つまり、製造業のような比較的賃金水準の高い職業ほど、雇用が失われていくことになる。比較的安定していた自動車業界も例外ではなく、部品が従来の3分の1で済む電気自動車が普及すれば、部品メーカーは今ほどいらなくなる。シェアリングの流れも相まって、20年後には国内販売台数が2割減ると予想されている。自動車を含めた製造業には厳しい時代が訪れる。(中原氏)

製造ラインのロボットは、決められた作業を高速反復する「自動化」から、20年後には、状況に応じて作業できる「自律化」に到達すると予想される。つまり、我々が想像する“ロボット” に限りなく近づいていく。これは、従来の技術や設備が負の遺産になるくらいのインパクトをもたらすだろう。自動車に関しては、自動運転レベル4(高速道路など限定された領域での自動運転)が実現されたときが、自動運転車の普及の転換点になる。(長谷氏)

 

農林水産

大規模農場でも農作物管理が容易になり、農業がビジネスパーソンの仕事になる⁉

日本の農業が生き残るためには、規制緩和が大きな課題となっている。個々の農家が細々とやっていても海外には勝てない。企業が株式の半分以上を持てるよう規制緩和を進めていくべき。大企業が農地を集約して大規模化できれば、AIによる自動化で海外に負けない競争力を持つことができるし、ビジネスパーソンとして農業に従事する人を雇うことができる。規制緩和が進めば、農業はむしろこれから伸びしろがある分野だ。(中原氏)

AIとロボットを組み合わせることで、例えば畑にドローンを飛ばして作物の育成状況を画像認識で確認したり、肥料や水の量の調整にAI技術を活用したりすることが一般的になる。つまり、個人農家による人の手を介した細やかな農業が、大規模農場でも同じように実現されていくと考えられる。また、AIの活用により、これまで高齢農家の経験に頼っていた農業技術の取得や進化のスピードも格段に早まるだろう。(長谷氏)

 

金融

審査業務もAIが判断。顧客データを持つ異業種がライバルに

銀行では、事務作業の自動化や、窓口やコールセンターでのAI活用などで人員削減がさらに進んでいく。また、アマゾンや楽天など膨大なデータを保有する企業が、データを活用した信用調査をベースに融資事業を始めており、これら異業種との競争も激しくなっていく。こうした中、競争力に乏しい地方銀行は、今の3分の1程度に減るという予測もある。製造業と同様、ここでも賃金水準が高い人たちが削減されていくだろう。(中原氏)

審査業務においては、従来はベテラン行員が持つ経験から判断していたが、今後はAIがデータにより審査して、人は結果をチェックするだけでよくなるので、人員は限りなくゼロに近づいていく。また、すでに中国で始まっている信用スコア(個人の日々のふるまいや公開プロフィールなどから信用度を数値化)の活用が日本でも広がっていけば、データを持つ企業が金融では有利になる。競争は異業種にも広がり、大手銀行といえども盤石ではない。(長谷氏)

 

IT

システム構築さえもAIが代替。エンジニアが淘汰される時代へ

「データが金脈」というけれど、今後様々な企業がデータを持つようになれば、同じ土俵で戦わなければならなくなる。データで儲けるビジネスモデルの優位性は、10年も続かないのではないか。また、ソフトバンクをはじめIT大手の投資銀行化も進んでいる。今のアメリカの若い起業家は、IT大手に買収されることを目標にしているというが、それでは先が見えてしまって、イノベーションは育たないのではないか。IT大手はあまりにも肥大しすぎた。今後、IT大手を分割すべきという議論が出てくるかもしれない。(中原氏)

ユーザーに対して音声認識や画像認識を使ったサービスを提供するだけでなく、情報システムの構築においても、画面デザインやテストなどの作業をAIが代替する時代が近い将来には訪れる。そうなれば、高度なAI技術を持つIT企業だけが生き残り、労働集約的な人月単位のITビジネスは立ち行かなくなる。付加価値の低いエンジニアは淘汰される可能性がある。(長谷氏)

 

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著者紹介

中原圭介(なかはら・けいすけ)

経済アナリスト

1970年生まれ。慶應義塾大学文学部卒。経営・金融のコンサルタント会社、アセットベストパートナーズ㈱の経営アドバイザー。企業・金融機関への提言、執筆・セミナーで経営教育・経済教育の普及に従事。幅広い視点から経済や消費の動向を分析し、その予測の正確さには定評がある。『中原圭介の経済はこう動く 2016年版』(東洋経済新報社)など著書多数。

長谷佳明(ながや・よしあき)

野村総合研究所 上級研究員/ITアナリスト

同志社大学大学院修士課程修了後、外資系ソフトウェア企業のコンサルタントを経て、2014年に㈱野村総合研究所入社。現在は、ITアナリストとして、先進的なIT技術や萌芽事例の調査、コンサルティングを中心に活躍している。古明地正俊氏との共著に『AI(人工知能)まるわかり』(日経文庫)がある。

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