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吉野家の競合は、本当に松屋やすき家なのか?

2019年09月17日 公開

〈連載第3回〉細谷功(ビジネスコンサルタント)

「お客をどこに取られたか」を見誤らないために

 

 メタ思考ができる人とできない人とでは見えている世界が違うと、ビジネスコンサルタントの細谷功氏は言う。時代の変革期に生き残るために必要なメタ思考とは?

※本稿は、細谷功著『メタ思考トレーニング』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。

 

「目に見える線引き」は変革を阻害する

 連載第2回で、Whyで考えると「土俵を変えられる」というお話をしました。これはさらに正確に言うと、非メタのレベルで考えている土俵とメタのレベルで考えている土俵とは「線の引き方」が異なっていることを意味します。

 手段のレベルで見ている土俵、つまり線の引き方と目的のレベルで見ている線の引き方では異なり、目に見えるものをベースにした線の引き方と目に見えないものをベースにした線の引き方では異なって見えるということです。

 つまり、メタの世界で考えている人には、非メタの世界で考えている人とは違った世界が見えているということです。

 例をあげましょう。

「業界」という言葉があります。例えば自動車業界、放送業界、電気業界といった形で用いられますが、これは主に提供する商品やサービスが同じ会社同士の集団を言います。大抵のビジネスパーソンは「業界」という単位で物事を考えます。「業界の常識」があったり、就職活動等も「業界」を単位に行われることが多いようです。

 ではこの業界という「線引き」は先の二つの見方のどちらに相当するでしょうか。これは「商品やサービス」という基本的に「目に見えるもの」で線引きされた世界であるがゆえに、非メタのレベルの線引きです。

 目に見える線引きというのは、目に見える分、誰にでも理解ができるために、不特定多数の人たちの間での共通認識として固定的に運用されるのに適したものです。しかしそうした一方、表層的かつ固定的なために、ときにそれが思考を硬直化させて変革への障害となるのです。したがって、特に変革期においてメタ思考の視点で「線を引き直して」考えることが必要になってくるのです。

 法律や規制、あるいは会社の規則というのも、「目に見える線引き」の典型的な例です。目に見える線引きは「誰にでもわかる」ものですから、多数の集団の規律を保ったり、ある程度できあがった仕組みを運用するためには必須のものですが、反面、時代の変革期になったときに陳腐化し、時代遅れなものとなってしまうために、むしろ変革に対しての阻害要因になってしまうのです。

 こんなときに必要なのが、メタのレベルに上がって「そもそもその線引きは何のためだったのか?」を問うてみることなのです。

 そのために必要なのが、Whyということになります。

 ここでは、そのように「線を引き直す」という観点でのメタ思考のトレーニングをしてみましょう。

 

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著者紹介

細谷 功(ほそや・いさお)

ビジネスコンサルタント

1964年、神奈川県生まれ。東京大学工学部を卒業後、東芝を経て日本アーンスト&ヤングコンサルティング(現、㈱クニエ)入社。2012年より同社コンサルティングフェローに。ビジネスコンサルティングの傍ら、講演やセミナーを多数実施。『「Why型思考」が仕事を変える』『メタ思考トレーニング』(PHPビジネス新書)、『考える練習帳』(ダイヤモンド社)など著書多数。

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