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情報整理がグンと楽になる「魔法のメモ術」とは?

2019年10月14日 公開
2023年02月24日 更新

野口悠紀雄(早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問/一橋大学名誉教授)

 

AIのパターン認識技術の成果

 音声認識は、私が昔から待ち望んでいた夢の技術です。1990年代に、デスクトップPCで用いる音声認識ソフトが開発されました。このとき、早速飛びついて試してみたのですが、残念ながら、全く実用になりませんでした。それ以来、ごく最近まで、私は音声入力は不可能であるとあきらめていました。

 最近の音声入力は、AIのパターン認識技術によって可能になったものです。従来はきわめて精度が低かった音声認識が、やっと実用段階に達したのです。

 夢の最先端技術が、かくも手軽に、しかも無料でいくらでも利用できるようになったのは、驚嘆すべきことです。

 音声入力は、まだ未完成な技術であり、不十分なところが多くあります。認識能力は完璧とはいえず、とくに専門用語が入ると、誤変換が多くなります。しかし、通常の言葉であれば、かなりの程度の認識能力があり、話すスピードがいくら速くても認識してくれます。

 この技術が目覚ましいスピードで進歩していることに間違いはなく、それがわれわれの社会に与える影響はきわめて大きなものになるでしょう。

 

ポイント 音声入力は、AIのパターン認識によって可能となった夢の技術。

 

いつでもどこでも、簡単にメモを取れる

 アイディアが浮かぶ場所は、通常は仕事机の上ではありません。それから少し離れた場所です。つまり、これまでの手段ではメモを取るのが不便だった場所です。

 そうした場所で生まれるアイディアが、スマートフォンへの音声入力によって簡単に記録できるようになったのですから、この変化はきわめて大きいものです。

 特筆すべきは、寝ている間に浮かんだ考えでも、ある程度はキャッチできるようになったことです。

 寝ている間に新しい考えが出ることはよくあります。ところが、これまでは、そのメモを取ることができませんでした。「寝入りばなにいい考えが浮かんだのだが、メモを取るのが面倒なのでそのままにしていたところ、翌朝になったら、いい考えが浮かんだということだけを覚えていて、アイディアそのものは全く思い出せない」ということを、しばしば経験していました。

 ところが、音声入力であれば、ベッドの中で寝た姿勢でもメモを取ることができます。そこで、こうしたアイディアを逃すことがなくなりました。これも、大変大きな変化です。

 

ポイント スマートフォンで音声入力を簡単にできるようになったため、いつでもどこでもメモを取れるようになった。このため、重要なアイディアを逃すことがなくなった。

 

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著者紹介

野口悠紀雄(のぐち・ゆきお)

早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問/一橋大学名誉教授

1940年、東京都生まれ。63年、東京大学工学部卒業。64年、大蔵省入省。72年、イェール大学Ph.D(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授などを経て、2011年より現職。著書に、『「超」整理法』(中公新書)、『「超」AI整理法』(KADOKAWA)など、ベストセラー多数。

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