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社長が自分の想いを押しつける会社は、沈む



2019年12月31日 公開

小宮一慶(経営コンサルタント)

人心掌握力のある社長は、ほめる、ねぎらう、夢を共有する

 例えば、就職したいと考えている会社が、将来性がある良い会社なのか。取引先の会社は、これから成長が期待できるのか。いまはネットで調べれば、簡単になんらかの情報を得ることができるが、それは「誰か」の知見やものの見方だ。それを参考にしながらも、自分自身で実際にその会社のよしあしを見抜く”確かな目”を養っていくことが大事だと、経営コンサルタントの小宮一慶氏は言う。具体的には、どこをどう見ればいいのか。一例を教えてもらった。

※本稿は、小宮一慶著『伸びる会社、沈む会社の見分け方』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。

 

前向きな言葉の威力

 北アルプスの燕岳(つばくろだけ)に「燕山荘(えんざんそう)」という山小屋があります。雑誌『山と渓谷』の読者アンケートで、「泊まってよかった山小屋」1位、「泊まりたい山小屋」1位に選ばれている有名な山小屋です。その経営者である赤沼健至さんから聞いた話です。

 山で遭難したときに、「自分は大丈夫だ、絶対に助かる!」と強い気持ちを持てるか、「もうダメだ」とあきらめてしまうか、その気持ちの強さが生死の分かれ目となりやすいのだそうです。

 ですから、遭難者の救助にあたるときは、前向きに生きようと思える言葉をたくさんかけるといいます。そのためには、普段から後ろ向きな言葉を使わないように心がけることが大切で、山小屋の従業員にもそういう指導をされているそうです。

 ポジティブな言葉がけが大事だということは、一般の会社でもよく言われていることです。

 人心掌握に長けた社長は、ほめ上手です。

「すごいね、よくそこに気づいたね」

 良いところにサッと気づかなくては、ほめられません。ぼんやり接していたのでは気づけません。さらに、「どうもご苦労さん」とか「有難う」とねぎらいの言葉があると、従業員はさらにうれしいわけです。ちょっとしたコミュニケーションの機会に、トップからどんな言葉をかけてもらえるかで、従業員の士気は変わります。

 ほめられたところは、その後も良い特質となって伸びていきます。それがその人の持ち味、長所になっていくことも多いです。トップのほめ力というのは、そのくらい威力があるものです。ただし、「ほめる」と「おだてる」とは違いますから、本当に良いところを「すごい」とほめ、ダメなところは「ダメ」ということも大切です。

 

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著者紹介

小宮一慶(こみや・かずよし)

経営コンサルタント、小宮コンサルタンツ代表

1957年、大阪府生まれ。1981年、京都大学法学部を卒業後、東京銀行に入行。1986年、米国ダートマス大学経営大学院でMBAを取得。帰国後、経営戦略情報システム、M&A業務や国際コンサルティングを手がける。1993年には、カンボジアPKOに国際選挙監視員として参加。1996年、〔株〕小宮コンサルタンツを設立。『小宮一慶の1分で読む!「 日経新聞」最大活用術』(日本経済新聞出版社)など、著書多数。

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