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40代がこれから直面するヤバい「職場の大激変」とは⁉

2019年12月09日 公開
2023年02月24日 更新

河合雅司(人口減少対策総合研究所 理事長/作家・ジャーナリスト)

「通勤しない」働き方がスタンダードになる

働き手の数が減る中で、今まで通りに働けない人が増えれば、企業も対応せざるを得なくなります。そもそも、「毎日通勤して、一つの場所に社員が集まって働く」という会社に対する概念そのものが変化すると思います。

親のそばにいながら在宅で仕事をするとか、地域ごとにサテライトオフィスを設けて自宅や高齢者施設の近くで働くといったワークスタイルが当たり前になるのではないでしょうか。

これは介護中の社員への対応という側面だけではありません。若い世代の貴重な労働力と時間を最大限に活用する手段としても必要になると考えられます。日本全体の高齢化が進むのに伴い、「オフィスの高齢化」も進行します。

約40年前は若い世代ほど多かったのが、最近は40代が最多で、50代以上の割合も増えています。この高齢化は今後さらに進み、国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2040年には勤労世代の3分の1を50代以上が占めるとされます。

そうなれば、限られた若い世代の労働力をいかに最大化するかを考える必要が生まれます。その解決策の一つが、先ほどの多様なワークスタイルの実現になるわけです。

通勤中は、基本的に生産も消費もできません。若い世代は働き手であると同時に、大事な消費者であり、地域の担い手になるべき人材です。その若者たちの貴重な1時間や2時間を通勤のために奪っていいものか。

もっと在宅やサテライトオフィスでの勤務を拡大して、これまで通勤に費やしていた時間を有益に使ってもらうべきではないのか。そんな議論がどの企業でも出てくるはずです。

賃金労働だけが社会を支える手段ではありません。ボランティアや地域の活動への参加や、余暇を楽しんで消費を促進することも、社会を支える手段です。支える側より支えられる側が増える中、若者が仕事以外に使える時間を増やすことは、社会全体にもメリットがあるのです。

 

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著者紹介

河合雅司(かわい・まさし)

人口減少対策総合研究所 理事長/作家・ジャーナリスト

1963年、名古屋市生まれ。中央大学卒業。産経新聞社論説委員を経て、一般社団法人「人口減少対策総合研究所」理事長に就任。現在、高知大学客員教授、大正大学客員教授、日本医師会総合政策研究機構客員研究員など多くの職務を兼任。厚労省をはじめ政府の各有識者会議委員も務める。ニッポン放送のニュース解説番組『ザ・フォーカス』(18:00~20:20生放送)のレギュラーコメンテーター。新聞、雑誌などで複数の連載も手掛ける。2014年に「ファイザー医学記事賞」の大賞、18年にNPO法人ひまわりの会「ひまわり褒章」の個人部門賞、19年に「第80回文藝春秋読者賞」など受賞多数。人口減少日本で起きることを克明に描いた著書『未来の年表』(講談社現代新書)、続編の『未来の年表2』(同)、最新刊の『未来の地図帳』(同)はいずれもベストセラーとなり、累計で86万部(2019年9月末日現在)を突破した。これら以外にも『日本の少子化 百年の迷走』(新潮社新潮選書)、『河合雅司の未来の透視図』(ビジネス社)、『マンガでわかる未来の年表』(講談社、漫画・水上航、監修・河合雅司)など数多くの著書がある。

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