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成長要因は「正社員ゼロ」。新しい働き方を実践するベンチャーに聞く

2020年07月14日 公開
2023年02月21日 更新

古賀徹(MEJ CEO)


古賀徹
〔株〕MEJ代表取締役社長CEO・古賀徹氏

2008年に創業して成長を続け、昨年、東証1部に上場している〔株〕ユーグレナのグループ会社となった〔株〕MEJ。同社で働く17人のうち、正社員はなんとゼロだという。役員以外はほとんど、業務委託を受けたフリーランスの「プロ」なのだ。創業者でCEOの古賀徹氏は、10年後にはこれが普通になると話す。

 

業務委託したプロに権限を委譲。会議はナシ

――まず、御社の事業内容を教えてください。

【古賀】「C COFFEE」というダイエットコーヒーを、D2Cで販売しています。D2Cというのは、メーカーが顧客にオンラインで直接販売することです。

――ヘルスケア商品のD2Cを行なっている企業は他にもありますが、御社の特徴は?

【古賀】他社には通販から派生してD2Cも始めた企業が多く、商品も高めの年齢層をターゲットにしているものが多いのですが、当社は初めから、20~30代向けの商品を、InstagramやFacebook、Twitterなどのソーシャルメディアを使って販売しています。簡単に言えば「バエる」ことが大切なので、プロダクトデザイナーを入れて、お洒落でハイセンスな商品を開発しています。

――正社員を雇わず、フリーランスのプロに業務委託をしているということですが、どんな業務を委託しているのでしょうか?

【古賀】商品開発も、広告のプランニングも、CRM(顧客管理)も……、バックオフィス以外のあらゆる業務ですね。

――勤務形態は?

【古賀】基本的にリモートで、出社するかどうかは本人に任せています。職種によっては、広告代理店への訪問などをする必要がある人もいます。ほとんどは他社の仕事も請け負っていて、当社での勤務時間は、「月に50時間」「月に100時間」など、それぞれの人と契約を結んで決めています。どの時間帯に働くかは自由です。

――働く時間帯が自由だと、会議を開くときなどに困りませんか?

【古賀】当社には会議がないんです。会議の主な役割は意思決定ですが、その権限は、それぞれの業務を担当しているプロに渡していますから。会議を開いたところで、プロであるその人よりも良い意思決定をできる人は、他にいません。意思決定に必要な会社の情報も、預金口座の残高までオープンにしているので、情報共有や相談のための会議も不要です。会議には、部下のマネジメントや新人の教育の場という側面もあると思いますが、これらもプロに対しては必要ありません。

――ずいぶん思い切った権限移譲ですね。

【古賀】フェイスブック社の事例を知って、当社にも取り入れました。ベンチャーが急成長するためには、意思決定の速さが極めて重要です。

――組織の形はどうなっているのでしょう?

【古賀】ピラミッド型の組織ではなくて、プロジェクトに対して人をアサインし、各プロジェクトを当社のCMOやCCO(チーフ・カスタマー・オフィサー)などが管理しています。

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