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会社員からコンサル・アドバイザリーで独立。成功した人は何をしたか?



2020年11月10日 公開

伊藤哉(工場経営研究所代表)・川越貴博(TESIC CEO)

伊藤哉
伊藤氏(左)と川越氏(右)

働き方が多様化する中で、「ゆくゆくは独立したい」と思っている人も多いだろう。自分が得意なことを活かして、時間を柔軟に使って仕事をすることは、会社員にとって魅力的な働き方だ。しかし、会社員が独立するとなると、収入面での不安が先立ち、「本当に生活していけるのだろうか」と躊躇するもの。そこで、会社員からコンサルタントやアドバイザリーとして独立を果たし、活躍している2人に、成功の理由を取材した。

経験に裏打ちされた独自性が受注につながる

 〔株〕工場経営研究所を起業し、中小の製造業者に対して工場の生産性向上のコンサルティングを行なっている伊藤哉(はじめ)氏は、もともと日立金属〔株〕に勤めるエンジニアだった。

「大学を卒業して入社後、約20年間、一貫して埼玉県にある工場の製造現場で働いていました。製造していたのは自動車部品です。燃費向上のために軽量化が求められていたので、それを実現するプロジェクトを主導したりしました」(伊藤氏)

 管理者にもなり、会社には何の不満もなかったが、45歳のとき、やむにやまれぬ理由で転職をすることになる。

「実家の母親に介護が必要になったんです。1年半ほどは実家と職場とを往復する生活をしていましたが、距離が遠くて、体力的につらくなりました」(伊藤氏)

 転職サービスを利用して、実家の近くで転職先を探したところ、ちょうど工場の管理者の求人があり、採用されたという。

「リーマンショック後で転職市場が厳しい時期だったので、運が良かったですね。工場の製造現場で長年経験を積んできた人材は、転職市場に少なかったので、採用していただけたのだと思います」(伊藤氏)

 転職先は、地元にある大手企業の工場から受注した多種多様な製品を少量ずつ製造する、金属加工の中小企業だった。そこで伊藤氏は、大手と中小企業の違いを痛感することになる。

「担当した部署の中に収益が出ず苦戦しているところがあり、2年くらいかけて改善したのですが、大手のやり方をそのまま中小企業に適用することはできませんでした。例えば、大手であれば、黒字化のために考えるのは、まずコスト削減です。けれども、中小企業はもともと少数精鋭。コスト削減だけで黒字化することは難しい。それよりも、効率を高めることが重要です。効率を上げることによって成果が上がれば、従業員の給与に反映されるよう、社長に提案したりして、モチベーションを高める工夫もしました」(伊藤氏)

 製造現場の効率を高めることには日立金属での経験が活かせるが、それだけでは売上が増えないので、収益力を高められない。受注を増やすことも必要だ。

「大手では分業ができていますから、製造現場にとって、仕事は営業が取ってくるものでした。けれども中小では、そうはいきません。製販一体でやらなければならない。私も、若い社員を連れて、お客様のところを回りました」(伊藤氏)

 本格的な営業活動の経験はなかったが、日立金属に勤めていたときも技術営業のような形で顧客のもとを訪問しており、顧客のほうを向いて製品を開発する姿勢は身についていたため、それほど戸惑うことはなかったという。

「そうしているうちに、先のことを考えると自由な時間が必要だと考えるようになりました。自分の年齢を考えても、独立するならそろそろだな、と思ったんです。直接的には、父親に介護が必要になったことをきっかけに、思い切って退職しました」(伊藤氏)

 ここが、多くの人にはなかなかできないところだろう。「準備を万端にしてから独立しようと思っても、万端になることはありません。どこかで『エイヤッ!』と思い切ることが必要です」と伊藤氏は話す。

「自分のキャリアを振り返って、やはり製造現場の生産性向上で独立しようと考えました。中小企業の製造現場には、仕組みがないために、良さを発揮できていないところが多いです。そのため、若い人たちもなかなか入ってきません。日立金属で協力会社の製造現場を見ていたときから、この問題は感じていました。その解消のために、自分の経験が役立てられると思ったんです。社外からコンサルタントという形で関わる仕事にニーズがあるのかはわかりませんでしたが、意気込みと熱意があれば何とかなるだろう、と(笑)」(伊藤氏)

 独立後、最初の仕事が入ったのは約2カ月後。独立した人や独立を考えている人たちのコミュニティに入り、そのメンバーからの紹介だった。

「15人ほどの金属加工会社の、受注した仕事をこなせないという課題を解決する仕事でした。この件を含め、ほぼ同時に4件の仕事を受注したのですが、それらはすべて金属加工工場の仕事でしたね。その後、印刷や食品など、他の業種の工場の仕事もするようになりました。モノを仕入れて、加工することで付加価値をつけて出荷するという点で、どんな業種でも工場は共通しているのだと、仕事をしながら気がつきました」(伊藤氏)

 銀行や商工会が主催する、経営者たちが集まる会合に出席したり、「サーキュレーション」などのプラットフォームにプロ人材として登録したり、また、ダイレクトメールを送ったりして、顧客を開拓してきたという。

「アピールしていたのは、経験をもとにした、独自の『手順』です。もちろん、製造現場の生産性を高めるための王道はあるのですが、単なる知識なら、本を読めば得られます。経験に裏打ちされた独自の工夫が加わってこそ、お客様は仕事を頼みたいと思うのです」(伊藤氏)

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