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創業73年・広島の老舗「鍋メーカー」がECサイト構築に活用したのは「フリーランス」の力



2021年03月16日 公開

山崎拓(関西軽金属工業社長)

関西軽金属工業 関西軽金属工業のECサイト

企業の競争力を高めるため、DX(デジタルトランスフォーメーション)が必要だと盛んに言われるようになった。しかし、そのためには多額の投資が必要で、中小企業には難しい……。そんなイメージを持っている人も多いだろうが、必ずしもそうとは限らない。やり方によっては、低コストで効果的なDXをすることができる。自社ECサイトの構築を行なった広島県の老舗「鍋メーカー」・関西軽金属工業〔株〕の事例を見てみよう。

   *   *   *

クッキングベーカー関西軽金属工業の商品「クッキングベーカー」

 広島市に本社を置く関西軽金属工業は、1948年に創業した、従業員数40名の老舗企業だ。鍋やフライパンを中心に、キッチン用品の製造・販売を行なっている。ECサイトの構築に取り組み始めたのは、コロナ禍が始まる少し前だった。

「当社は、50年以上前に、他社と一緒に実演販売という販売方法を開発しました。テレビショッピングなどでよく目にするものですね。当社の場合は、全国の農協で、その土地の特産品などを使った料理教室という形で実演販売を行なっています。私自身も20代の頃はよく実演販売をしていました。

 ただ、時代の趨勢で、実演販売の売上は下がってきています。そこで、8年前に直営の小売店も始めました。現在(2021年3月の取材時)は、ショッピングモールなどに、全国4店舗を出店しています。

 ECについても、市場が伸びているので、始めることにしました。まずは楽天市場に出店したのですが、赤字が続き、数年で撤退しました。それからまた数年経って、今度は自社ECサイトの構築に挑戦することにしたのです」(山崎氏)

 現在、同社のECサイトはShopifyを使って作られているが、当初は別のサービスを利用していた。

「社内にデザイナーがいるので、簡単にECサイトを構築できるサービスを利用すれば、内製できました。

 ただ、販売はできるようになりましたが、それだけでは物足りなかった。お客様のコミュニケーションを取る機能が欲しかったんです。そこで、作り直すことにしました。

 とはいえ、広島でECサイトを構築してくれる業者を探そうにも、探す方法がありませんでした。大企業しか見つけることができず、大企業に依頼すると大きな費用がかかります。そこで、腕のいいフリーランスの方に依頼することにしました」(山崎氏)

 フリーランスのエンジニアを見つけるために同社が利用したのが、フリーランスや副業・兼業の人材と、仕事を依頼したい企業のマッチングを行なっている「ランサーズ」だ。

「ランサーズを通してフリーランスの方に仕事をしていただくことは、それまでにも何度もありました。確か、初めて発注したのはサーバーの移転の仕事だったと思います。ホームページ関係の仕事も何件かお願いしたことがありました。

 初めのうちは、案件を掲載して、応募してもらっていたのですが、1件につき20~50名もの方に応募していただき、どなたに依頼するのか選ぶのに時間がかかっていました。そこで、慣れてきたら、登録されている方の情報を検索して、当社の仕事に合いそうな方に連絡を取る形に変えました」(山崎氏)

 こうした経緯があったため、ECサイトを作り直す仕事もフリーランスに依頼することに抵抗はなかったそうだ。3人ほどに連絡を取り、その中から依頼する人を決めたという。

「特に重視したのは、これまでに制作したもののデザインや雰囲気が、当社が求めているものと合っているか、という点です。また、商品がキッチン用品で、お客様には女性が多いですから、できれば女性のほうがいいかなとも思っていました。結果的に、依頼したのは女性の方です」(山崎氏)

 発注後も、電話で話すこともなく、やり取りはチャットで行なった。当初予定していた1カ月よりも長く、2カ月かかったが、満足のいくECサイトができあがったという。

「2020年11月~2021年1月の3カ月間のECサイトでの売上は、2019年11月~2020年1月に比べて約2.5倍。ウェブ経由の問い合わせも、同じく約2.5倍になりました」(山崎氏)

 ECサイトでの売上が好調な要因としては、ちょうどリニューアルオープンしたタイミングでコロナ禍が起こったことが挙げられるだろう。ただ、ユーザーとのコミュニケーションを取る機能にこだわったことがポイントとなったようだ。

「実演販売や展示会が約8割も減ってしまい、お客様と触れ合う接点が失われてしまいました。けれども、ECサイトを経由して、既存のお客様とのコミュニケーションが維持できたのです。

 例えば、当社のフライパンは高級品なので、テフロン加工を塗り直して使い続けるお客様が多くいらっしゃいます。コロナ禍によって、当社の担当者が直接商品をお預りして塗り直すことはできなくなりましたが、ECサイトで『塗り替えサービス』のチケットを買っていただいて、商品は宅急便でお送りいただいたり、同じ商品を安くECサイトで購入していただいて取り替えたり、といったことができるようになりました。

 実演販売のお客様は高齢の方が多いので、ECサイトとの相性はよくないかと思いきや、まったくそんなことはなく、スマホでお問い合わせをいただいています」(山崎氏)

 今後も、ECサイトのレベルアップのみならず、直営店舗のポイントカードをアプリにしてECサイトと連携させることなどにも、フリーランスの人材を活用して取り組みたいという。IT人材が少ない地方の中小企業のDXのために、参考にできる事例だろう。

関西軽金属工業 関西軽金属工業社長・山崎拓氏



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