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「結婚式は自粛対象ではない」ウェディングのプロが主張する根拠

2021年07月10日 公開
2023年02月21日 更新

安東徳子(マリッジ・ライフ・プランナー/サービスビジネスコンサルタント)

 

新しい披露宴に求められるのは「司会の力」

もちろん、今は披露宴も新しいスタイルに変わりました。元々、披露宴を行う会場というのは、天井も高く、換気性能が高いため、感染対策に適しています。

さらに距離を離して座る、飛沫感染対策のパーテーションの設置などの他、写真撮影以外はマスク着用が主流。1品ずつ、時間を空けて料理が運ばれてくる披露宴の食事は、マスク会食にも適しています。

そして、お酒が出ないことで、誰も酔うことなく、ゲストが最後まで心を1つにして祝福できるというのは、酒類の提供が禁止になったからこその発見でした。

東京都の場合、コロナ前は招待客が60〜70人規模の披露宴が多かったのですが、20人ぐらいの少人数が多くなりました。

一部のゲストがオンラインで参加できる"ハイブリットプラン"も充実していますし、招待客がテーブルにタブレットを置いて出席できなかった身内が参加するというスタイルも多いです。

こうした少人数のウェディングの成否を分けるのが、司会者の存在です。なぜなら、少人数の場合、近しい人ばかりが集まることもあり、なんとなく雑談をして、単なる食事会で終わってしまいがちだからです。

でも、新郎がお父様に「ありがとう」を伝えたり、新婦のお父様が子どもの頃の思い出を語ったり、この日にしかできない大切な会話があります。

だから、限りなく家族に近いポジションで、うまく話を引き出せる司会者の技量が重要となります。今後は従来のようなスムーズに進行し、場を盛り上げるのとは違うタイプの司会者が求められていくでしょう。

そして、冒頭で私が質問を受けたように、今後も招待されて戸惑いを感じる人や出席できない状況の人はいると思います。そのような方への配慮として、昨年の秋頃から招待状の返信ハガキも変わっています。

従来の出席、欠席だけでなく、基礎疾患がある、妊娠中である、会社に禁止されているといったチェック項目を設けて、欠席がしやすくなっているのです。

コロナ禍の披露宴は「本当に来ていただきたい人」を招待し、「本当に行きたいと思う人」だけが出席する形になっていると言えるでしょう。

私は30年以上、ウェディング業界で活動してきました。もちろん、コロナの流行で大変なことの方が多いですが、結婚するカップルが結婚式のなりたちや披露宴の意味合いについて、改めて考えるきっかけになったと感じています。

 

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