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「オンライン診療のベンチャーが保険事業に参入した理由」MICIN代表取締役CEO 原聖吾

2021年10月07日 公開

【経営トップに聞く 第54回】原聖吾(MICIN CEO)

MICIN

コロナ禍によってオンライン診療への関心が高まっている。2015年創業のベンチャー企業・〔株〕MICIN(マイシン)が提供するオンライン診療サービス「curon(クロン)」も利用者数を急増させているという。しかし、同社はオンライン診療サービスに留まらず、MICIN少額短期保険〔株〕を設立して、今年8月に保険事業に参入した。東京大学医学部を卒業後、研修医、民間シンクタンク、スタンフォード大学MBA、マッキンゼーを経てMICINを起業した原聖吾CEOに、起業の経緯や保険事業参入の理由、今後の展開について聞いた。

 

オンライン診療から服薬指導、薬の配達までをサポート

――御社は、オンライン医療事業、臨床開発デジタルソリューション事業、デジタルセラピューティクス事業、そして保険事業と、大きく分けて4つの事業を展開しています。まず、1つ目のオンライン医療事業についてお聞きします。他社も展開していますが、御社のサービスの特徴は?

【原】「curon(クロン)」という医療機関向けのオンライン診療サービスを提供していて、特徴としては、医療機関に導入していただく際の負担を少なくするため、初期費用や月額利用料を医療機関からいただかない仕組みにしていることがあります。その他、UI/UXやサポート体制も、他社に対する優位性になっていると思います。

 現在、5000以上の医療機関に導入していただいていて、この領域では最も多くの医療機関に使っていただいているサービスです。

――収益はどこから得ているのですか?

【原】患者さんから、1回330円(税込み)で、その都度、利用料をいただいています。

――薬局向けの「curonお薬サポート」というサービスも展開していますね。

【原】こちらは薬剤師による服薬指導をオンラインで行なうためのサービスで、薬局から初期費用や月額利用料をいただいています。医療機関向けのcuronと連携していることが特徴で、2500店舗以上の薬局に導入していただいています。この数もオンライン服薬指導サービスの中で国内トップクラスです。

――curonとの連携と言うと?

【原】curonで診察を始める際に、患者さんに薬局を指定してもらいます。診察が終わると、その指定の薬局に処方箋がFAXで送られます。その処方箋をもとに、薬剤師がオンラインで患者さんに服薬指導をして、薬がご自宅に送られる。この一連の流れがつながっています。

――curonの導入は、コロナ禍で進んだ?

【原】2016年にサービスを開始して、コロナ禍前の時点では約2000の医療機関に導入していただいていました。そこから2倍以上に増えています。コロナ禍によって医療関係者の関心が高まり、非連続的な成長をしています。

 curonを使っていただいている先生方が、オンライン診療をやるならcuronがいいと他の先生方に紹介してくださったことも、一気に広がった大きな理由です。コロナ禍の何年も前からサービスを提供して、その価値を医療機関の方々に感じていただいていたことが、信頼につながっているのだと思います。

 コロナ禍を収益を得るチャンスだとしてアグレッシブに営業をかけるようなこともしていません。医療従事者に寄り添って、本当に必要な方に使っていただきたいと考えています。

――米国や中国に比べて、日本ではオンライン診療が進んでいないイメージがあります。

【原】curonを始めた頃は、非常に難しい市場だったと思います。オンライン診療というものの認知がなかったですし、医師も、診療は対面で行なうことを当たり前と考えていましたから。

 それが、コロナ禍を契機として、大きく変わりました。制度も、オンライン診療を柔軟に行なえるように変わりました。これからは、日本でもオンライン診療が広く普及していくだろうと感じています。

――参考にしている海外の企業はありますか?

【原】ありますが、国によって制度が違うので、海外のやり方をそのまま日本に持ってくることは難しいと思います。

――日本の医療制度は独特?

【原】日本だけではなく、各国それぞれに違った発展の仕方をしています。

――ということは、海外でオンライン診療の事業を展開している企業が日本市場に参入しようとしても難しい?

【原】そういうことも言えると思います。

――2つ目の臨床開発デジタルソリューション事業は、製薬会社向けのサービスだいうことですね。

【原】薬を開発するときには、安全性や有効性を検証するための治験というプロセスがあります。その治験をオンラインで行なうサポートをするものです。

 治験もコロナ禍によってストップしてしまうケースがあったのですが、当社のサービスを使えば、非対面でも治験を進められます。

――curonとは違う機能を備えている?

【原】そうですね。治験で得たデータを原資料として活用するための機能や、製薬会社のデータベースとつなげるための機能などを備えています。

――これも利用する企業が増えている?

【原】具体的な数字や企業名は公表していないのですが、やはりコロナ禍の中で関心を持っていただくことが増えて、利用していただく企業が増えています。

 海外では進んでいる領域ですから、日本でも広がっていくと思います。

――3つ目のデジタルセラピューティクス事業は実証研究中?

【原】オムロン ヘルスケア〔株〕やテルモ〔株〕といった医療機器メーカーなどと共同で開発を進めています。

 例えば糖尿病などは、患者さんがご自身で治療を継続していくことが必要ですが、難しい。そこで、治療継続を、アプリなど、オンラインで支援するサービスを提供するのが、デジタルセラピューティクス事業で取り組んでいることの1つです。

――curonと連携するのでしょうか?

【原】今の段階では念頭に置いていませんが、今後はあり得ると思います。

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