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シンシアリー 慰安婦問題を無視していいわけがない

2018年02月27日 公開

シンシアリー(韓国人ブロガー)

韓国の世論をつくるのは誰か

 韓国社会の「善悪」の基準をつくるのは誰か。マスコミ? いや違う。市民団体だ。市民団体が前に出て大騒ぎして駄々をこねることが、韓国ではいちばん強い。法律よりも大統領よりも強い。これを韓国では「テボップ(駄々こね法)」とし、「憲法より上に国民感情法があり、国民感情法より上に駄々こね法がある」と皮肉ることもある。

 マスコミすらも、市民団体に迎合する姿勢を取らないと生き残れない。放送局や新聞社のスタッフ、労組もすべて市民団体の味方だ。何より、市民団体は、文在寅政権誕生の立役者だ。朴槿惠氏の弾劾で本格化した「市民団体の政治権力化」は、これからの韓国社会を論ずるにおいて欠かせないキーワードになるであろう。

 そんな市民団体のなかでも、挺対協はまさにバケモノだ。「慰安婦」という神体をもって、彼らは宗教指導者のように韓国社会を支配している。彼らに反するのは、「悪い」ことなのだ。

 彼らを刺激して、文政権にいいことはない。まだ、保守派を完全に殲滅できてはいない。これから、まず李明博氏を逮捕すること、518(光州民主化運動)を再捜査すること、そしてできれば全斗煥氏に前とは別の責任を負わせて再逮捕すること、改憲して518精神や「ろうそくデモ」精神など左派思想を憲法に刻むことなど、いろいろとやることが残っている。

 すべてが彼の任期中にできるとも限らない。まず必要なのは総選挙での圧勝で与党「共に民主党」が改憲をリードすることであり、それまでは、文氏は「善」側の人を演出しないといけないのだ。保守派殲滅を「国民統合」、親北政策を「朝鮮半島平和」として包装し、少しずつ、気を付けて進めなければならない。経済政策なども、できる限り「良い人」「庶民の味方」を演出し、支持率を維持しなければならない。

 文大統領がそんな(賛否はともかくとして彼にとっては)大事な役目を遂行するためには、挺対協や参与連帯など、韓国で強い力をもっている市民団体の協力が必要だ。彼らに嫌われると、下手すれば文大統領が「悪」にされ、せっかく築き上げた善良なイメージも台無しにされるかもしれない。

 結局、文氏は、慰安婦合意をもっと派手なかたちで「破棄します」と叫ぶしかない。今回は康長官の後ろに隠れて「不履行宣言」だけしたが、これで事が収まるはずはなかろう。

 いずれ、韓国は公式「破棄」宣言を行なうだろう。ただ、その際に「日本が破棄したのだ」と言い訳をするだろう。合意の趣旨を破壊したのは謝罪も賠償もしない日本であり、韓国は何一つ悪くない、とする屁理屈である。

 最後に、1月9日に韓国のニュース通信社「ニュース1」の「(韓国)政府、慰安婦合意を再合意はしないが、無視することに」という記事の一部を紹介する。

「今日発表された(韓国)政府の立場は、既存の韓日慰安婦合意は、外交的実体として認めるものの、その履行はせず、事実上無視するということに要約される」

 無視していい事案だろうか。いや、韓国側は慰安婦合意を無視「できる」と思っているのだろうか。もはや、この問題に「無視」なんか通用しない。韓国だけでなく、日本もそうだ。ネットでよく「韓国の主張なんか無視すればいい」という意見を目にするが、無視していいことなら、最初からここまで大きな問題にならなかっただろう。韓国が慰安婦合意を無視するなら、日本としては、相応の措置を取るべきだ。韓国が破棄を言い出したときには、また相応の措置を取らなければならない。

 (本記事は『Voice』2018年3月号、シンシアリー氏の「やはり慰安婦合意は破棄される」を一部、抜粋したものです。全文は現在発売中の3月号をご覧ください。最新刊人を楽にしてくれる国・日本~韓国人による日韓比較論~』<扶桑社>も必読!

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著者紹介

シンシアリー(SincereLEE)

韓国人ブロガー

1970年代、韓国生まれ、韓国育ちの生粋の韓国人。歯科医院を休業し、2017年春より日本へ移住。韓国の反日思想への皮肉を綴った日記「シンシアリーのブログ」は1日10万PVを超え、日本人に愛読されている。著書に、『韓国人による末韓論』『朴槿恵と亡国の民』『なぜ日本の「ご飯」は美味しいのか』(いずれも扶桑社)など。近著に、『人を楽にしてくれる国・日本』(扶桑社)。


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