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落合陽一 著者に聞く『日本再興戦略』

2018年03月09日 公開

落合陽一(メディアアーティスト、筑波大学学長補佐・准教授)

日本の未来を、悲観する必要なんてない

聞き手:編集部 写真:吉田和本

 ――「次の一手で日本の戦況は好転する」。本書『日本再興戦略』では、落合先生の希望に満ちた言葉が印象的でした。これまで主に論じられてきたテクノロジーやメディアに留まらず、政治、経済、外交、教育などさまざまな切り口から今後の日本のグランドデザインを描かれています。どんな問題意識があったのでしょうか。

 落合 僕は筑波大学でラボ(デジタルネイチャー研究室)を主宰しているほか、学長補佐として「10年後の大学」について話し合っています。加えて、内閣府や文科省などの委員会に出席する機会も増えてきました。一研究者だったこれまでとはロール(役割)が変わってきたわけですが、現在や未来の日本に関するステートメント(声明)を出すべきではないか、と考えました。

 いまの日本は必要以上に自信を失い、ネガティブどころか自虐的になっているように思います。日本を自画自賛するようなコンテンツの氾濫は、むしろその反動でしょう。ただ、僕にはそこまで悲観的になる理由がわからなかった。日本には間違いなく、再興するチャンスがあり、そうした「全体像」と「ビジョン」と「テクノロジー」を本書では示しました。

 ――日本が抱える多くの課題のうち、とくに危機的とされるのが少子高齢化、人口減少といわれます。

 落合 なぜ人口問題をそこまで重視する必要があるのでしょうか。企業を評価するとき、真っ先に見るのは売上ですよね。従業員の数や平均年齢から確認する人はいません。この論理は、一国の人口や年齢分布とGDP(国内総生産)の関係性にも当てはまるはずで、本質的には人口問題をネガティブなトーンで語る必要はありません。もちろん、人口減少時に付随する問題は多いですが、テクノロジーで解決がめざせるものばかりです。

 ――本書では「人口減少や高齢化は、むしろ大きなチャンス」とまで指摘されていますが。

 落合 本心からそう思っています。いずれは中国を筆頭に、世界中が日本と同じ道を歩みます。もし日本が高齢化社会に対するソリューション(解決法)を生み出すことができれば、世界から注目を集めることができる。そしてそれは、日本の未来の対外イメージ、そして輸出戦略の礎となります。では、いかにソリューションを生み出すのか。ここでカギとなるのが、テクノロジーなのです。

 ――自動運転やAI(人工知能)、ブロックチェーン(分散型台帳技術)などの発展が注目されていますね。

 落合 自動運転が普及すれば、どこにでも快適に移動できますし、コンビニに行かなくても、ほしいものを宅配してくれるようになります。「移動」の概念がこれまでとは一変するわけで、そうすれば、たとえば歩行が困難な高齢者の暮らしを支えることにつながるでしょう。

 これは一例で、テクノロジーには社会のあらゆる課題を解決しうる力があります。もともとそういうものとしてわれわれはテクノロジーに向き合ってきたはずです。ところが残念ながら、日本はテクノロジーが発達しているにもかかわらず、それを活かして問題解決に挑もうという意識が弱い。「人が足りなかったら、ロボットで賄えばいい」という単純な思考にならないのです。物事は単純ではない? 本当にそうでしょうか。そうした単純な解決法は、いちばんコストが掛かるかもしれませんが、それが最終的にいちばん持続性が高いはずです。

 

(本記事は『Voice』2018年4月号「著者に聞く」落合陽一氏の『日本再興戦略』を一部、抜粋したものです。全文は3月10日発売の4月号をご覧ください)

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著者紹介

落合陽一(おちあい・よういち)

メディアアーティスト、筑波大学学長補佐・准教授

1987年、東京都生まれ。2011年、筑波大学情報学群情報メディア創成学類卒業後、東京大学大学院学際情報学府博士課程早期修了。博士(学際情報学)。15年より、筑波大学助教・デジタルネイチャー研究室主宰、Pixie Dust Technologies, Inc CEO。映像と物質の垣根を再構築する表現を計算機ホログラムによって実現するなど、計算機時代の自然観としてデジタルネイチャーと呼ばれるビジョンに基づき研究に従事。著書に、『超AI時代の生存戦略 シンギュラリティに備える34のリスト』(大和書房)など。

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