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ケント・ギルバート 官僚の毒に侵された日米の憂鬱Ⅰ

2018年04月12日 公開
2023年02月01日 更新

ケント・ギルバート(米カリフォルニア州弁護士)

アンチ・トランプ派官僚の傲慢

 ヒラリーを支持していたリベラルの識者のなかには、この私的メール問題を「大したことではない」と開き直る輩もいましたが、それで許されるなら、どんな問題でも「大したことはない」ことになってしまいます。自分に都合の悪いときだけ問題を矮小化するのは、リベラルの悪弊の一つといえます。

 公文書の管理が重要なのは、セキュリティの問題ももちろんありますが、それ以上に記録が残らないことです。政府が不正を働いていないか、国民がチェックできなくなってしまう。ヒラリーのやっていたことは、民主主義の原則を踏みにじるような行為であり、だからこそアメリカで大問題とされたのです。

 さらに現在、トランプ政権が困っているのは、連邦政府のアンチ・トランプ派の官僚がencrypted(暗号化された)メッセージでメールをやりとりするようになっていることです。官僚がそんなことを始めると、政治の透明さが失われ、アメリカが中国のような閉鎖的社会になりかねない。彼ら一部のエリート官僚たちは、国民のことをまるで考えておらず、非常に傲慢だと思います。

(本記事は、4月10日発売の『Voice』2018年5月号、ケント・ギルバート氏の「官僚の毒に侵された日米の憂鬱」を一部、抜粋したものです。

著者紹介

ケント・ギルバート(Kent Sidney Gilbert)

米カリフォルニア州弁護士

1952年、米アイダホ州生まれ、ユタ州育ち。71年に初来日。80年、国際法律事務所に就職して東京に赴任。83年、TV番組『世界まるごとHOWマッチ』に出演し、 一躍人気タレントへ。『夕刊フジ』金曜日連載「ニッポンの新常識」、まぐまぐメルマガ「ケント・ギルバートの『引用・転載・拡散禁止!』」などで論陣を張る。著書に、『まだGHQの洗脳に縛られている日本人』『やっと自虐史観のアホらしさに気づいた日本人』『いよいよ歴史戦のカラクリを発信する日本人』 『ついに「愛国心」のタブーから解き放たれる日本人』(いずれもPHP研究所)などがある。 『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』(講談社+α新書)は発行46万部余りの大ベストセラー。 

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