佐々木俊尚 ヴァーチャルの進化が企業にもたらす変革とは

「VR」は我々の仕事や生活にどんな影響を与えうるのか。テクノロジーについて豊富な知見を持つ作家・ジャーナリストの佐々木俊尚氏にうかがった。
2018年05月29日 公開
聞き手:大隅 元(PHPビジネス出版課)
人は美味しいものを食べると、頬が緩む。少しお酒を口にすれば、饒舌になる人もいれば、少し大胆になる人もいる。もしかしたら、食事を機に、あの著者のとっておきの話も聞き出せるのではないか――。本連載は、個人的に気になる飲食店をお借りし、その店の名物とともに、いま注目の著者から書籍では描ききれなかったこぼれ話を堪能するという、ちょっとぜいたくなインタビュー企画である。
初回にお邪魔したお店は、中華風家庭料理「ふーみん」(港区南青山)。青山骨董通りで40年以上にわたり創作中華料理を提供してきた名店だ。
そしてゲストに迎えたのが、『ルポ 中国「潜入バイト」日記』(以下『中国潜入バイト』、小学館新書)の著者である西谷格氏。西谷氏は、2009年に上海に移住し、あるときはパクリ遊園地のスタッフとして踊り子になり、あるときは中国の「反日」ドラマに出演するなど、いくつもの過酷(レッド)な職場に潜入労働してきた。中国での「職務体験」を通して見えてきた日本と中国の文化・習慣の違い、中国ビジネスの現状などについて、じっくり話を聞いた。
――今日は中国の家庭料理をセレクトしました。6年以上中国・上海で暮らした西谷さんに、「本場の味」を思い出してもらおうと思いまして。
西谷 せっかくのご厚意ですが、がっかりです。
――えっ!?
西谷 慣れ親しんだ「中国の料理屋」をすべての面で上回っているからです。日本の観光客が中国の大衆飲食店に入ると、たいてい失望します。テーブルは食べ物のシミでべた付いていて、床にタバコの吸い殻は落ちている。もちろん、こうして冷たいお水が出てくるわけがない。換気も悪く、嗅ぎ慣れない匂いが充満する店内から一刻も早く出たくなるでしょう。
比べるまでもなく、「ふーみん」は清潔で騒がしくなく、店員さんの接客も丁寧で居心地がいい。こんなTシャツ姿で場違いなお店に来てしまった、と中国を思い出すどころか、恥ずかしさでいっぱいです。どうしてくれるんですか(笑)。
羞恥心を隠し切れない様子の西谷氏。この姿で表参道を闊歩していたとは
――喜んでいただいたようで、安心しました。ちなみに苦手な食べ物はありますか?
西谷 じつは辛いモノはあまり得意ではなく、中国にいたころは苦労しました。というのは、現地の飲食店に行くと、「これは大丈夫だろう」と思ってオーダーした食べ物が激辛だったりする。中国では、日本の和食のように繊細さを求めたり、食材の良さを引き出す調理はまずしません。基本的に大味か激辛かの二択で、味付けが極端なんです。
――なるほど(笑)。『中国潜入バイト』では、上海の寿司屋にも潜入していますね。
西谷 飲食店でキッチンのバイトをした経験もあるので、調理はそこそこ自信があったんです。ところが、ドヤ顔でサラダを盛り付けたら、「これじゃだめだよ」と同僚から注意された。どうやら中国では野菜はパリッとした新鮮な状態で食べるよりも、ギューっと押しつぶしたうえに、ドバドバと大量のドレッシングをかけて食べるほうがおいしいという感覚があることを初めて知りました。中国の飲食店には、素材本来の味を堪能するという発想がないようです。
寿司屋でバイトした理由は、上海の食肉工場が大手ファストフードチェーンに使用期限の切れた食肉を納入していた問題が起きた当時(2014年)、『SAPIO』の編集者から「中国人の衛生事情を知りたいから、上海の寿司屋で働きませんか?」とリクエストされたからです。
生魚を扱う寿司屋では、当然高い衛生感覚を求められます。寿司屋で働き、作り手とお客さんの双方を観察することで、中国人が食べ物とどう向き合っているかを探るのがミッションでした。想像以上に記事になりそうな“ネタ”は豊富にありましたね。
なかでも、同僚が賄い用の食事を調理する際、床にまな板を置いて魚をさばき始めたときは、驚きを禁じえませんでした。この瞬間、「十分取材の目的は達成したな」と思ってバイトを辞める決心がつきました(笑)。
上海の寿司屋で目撃した一場面 写真提供=西谷氏
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