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アメリカンドリームは神話と化した? 米国白人中間層の怒り

2018年06月22日 公開

ジョーン・C・ウィリアムズ(カリフォルニア大学労働生活法センター初代所長)

もともとただの夢にすぎない

―─日本でアメリカンドリームといえば、労働者階級の家に生まれても、出世街道を上って成功できるとイメージされています。これはもはや神話ですか?

ウィリアムズ 神話でしょう。われわれの国は、多くのほかの産業国よりも社会的流動性は低い。ワーキング・クラスの多くは、どこかでアメリカンドリームを夢見つつ、自分の両親よりも少し成功すればいいと思っています。

そして現在、彼らが強い憤りを感じているのは、そのための地歩すら失い、貧困に向かって滑り落ちているからです。また自分の子どもたちが中間層から脱落していくのを目の当たりにしたからです。

―─つまり、アメリカンドリームはもう死んだと。

ウィリアムズ まだまだ健在です。もともと、ただの夢なのですから(笑)。でも残念ながら、アメリカの現実はとても厳しい。問題の根底にあるものは、前述したように、両親より経済的に成功する確率が中間層で50%もないことです。これは深い苦悩の源です。

―─最初から夢がたんに夢にすぎないことを知ったら、残るのは絶望、そして怒りだけかもしれません。

ウィリアムズ アメリカのエリートは、自分たちが「社会の不平等」を理解していることに誇りをもっているでしょうが、そもそも出発点が違います。プロフェッショナルになったり、管理職についたりすると、自分の頭脳がもっとも優れているがゆえだ、と思うでしょうが、それは違います。

「社会階級」の重要性を理解するためには、生まれたときにすでに三塁にいたことを認めなければなりません。つまり、自分で三塁打を打ったから3塁にいるのではなく、最初から三塁にいたということです。生まれたときに塁に出ていない人と比べると、ホームベースを踏む確率ははるかに高いことを認めないといけません。

(本稿は、大野和基インタビュー・編『未来を読む』から一部抜粋、編集したものです)

著者紹介

大野和基(おおの・かずもと)

国際ジャーナリスト

1955年、兵庫県生まれ。大阪府立北野高校、東京外国語大学英文学科卒業。79~97年在米。コーネル大学で化学、ニューヨーク医科大学で基礎医学を学ぶ。その後、現地でジャーナリストとしての活動を開始。アメリカの最新事情に精通している。

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