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橋下徹「習近平主席が待機児童問題について語りますか?」

2018年11月08日 公開
2023年07月12日 更新

橋下徹(元大阪府知事/弁護士)

道州制を含む統治機構改革という切り札

――現在の安倍政権は強固な体制を築いているようにみえますが、「ポスト安倍」の問題についてはどう見ていますか。

橋下 そもそもリーダーシップは、個人の力で発揮されるものではなく組織に規定される、と僕は考えています。

たとえば習近平主席が日本の首相になっても、リーダーシップは執れないでしょう。習主席があのようにできるのは中国の政治組織だからこそです。

僕は大阪府知事・市長だったとき、「橋下は独裁者だ」と散々いわれてきましたが、そのような強烈なリーダーシップを僕が発揮できたのは、有権者から直接選ばれる知事・市長という立場で、大阪府庁・大阪市役所という巨大組織において人事権と予算権を握る仕組みに乗っかっていたからです。

まさに組織の仕組みによってリーダーシップが発揮できたのです。また大阪維新の会も、僕がリーダーシップを発揮できる組織形態になっていました。

僕が議院内閣制の仕組みである国政の場に行ったとしても、リーダーシップなど発揮できないし、政治家としてクソの役にも立ちません。組織に規定されるんです。

―まず、リーダーシップを発揮できる体制を整える必要があるわけですね。

橋下 リーダーシップや戦略は組織に規定される。僕が大阪都構想に取り組んだのも、大阪全体の政策を、大阪全体のリーダーが強力に実行するための組織、統治機構をつくるためだったのです。

大阪府庁・市役所がそれぞれ行なっていた行政を統括し、大阪が一体となって政策を実行し、大阪の活力と競争力を高める。東京に並ぶ2つ目のエンジンとして大阪が力をもてば、日本全体の大きな推進力になります。

大阪都構想、ひいては道州制を含む統治機構改革を進めることで、地方は自律的に創意工夫を凝らした行政を展開でき、中央政府は国の大きな舵取りに集中できる。

これこそが、激動する国際情勢を乗り切り、少子高齢化に突入しながら価値観がますます多様化する社会ニーズにしっかりと応える政治行政を実現する切り札です。

そして、このような統治機構改革は内戦に匹敵する凄まじい権力闘争に打ち勝たなければならず、政治家にしかできない仕事です。自民党にはそれをやる意思も能力もありません。ゆえに統治機構改革を実行してくれる野党の誕生を期待しています。

※本稿は『Voice』2018年12月号、橋下徹氏の「野党よ、国民の声を聞け」を一部抜粋、編集したものです。

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