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シリコンバレーで働く人が「シリコンバレーにこだわる」理由

2019年05月04日 公開

酒井潤(シリコンバレー・エンジニア)

酒井潤

 アメリカの“ハイテク企業の聖地”ともいえるシリコンバレーでエンジニアとして働く酒井潤氏。彼はもともと、大学日本代表に選出されるほどサッカー一筋の人生を歩んできた。何が酒井氏の人生を変えたのか。日米の働き方の違いとは。時代の最先端を走るエンジニアが語る。

取材・構成:中﨑史菜

※本稿は『Voice』5月号、酒井潤氏の「なぜシリコンバレーで働くのか(上)」を一部抜粋、編集したものです。

 

「IPOホッパーの存在」

シリコンバレーには、グーグルやアップル、フェイスブックといったネームバリューのある企業が軒を連ねており、そのような企業への転職はとても華やかに思えます。

しかし、シリコンバレーには、企業が上場(IPO)する前に情報をキャッチして転職する「ジョブホッパー」が多くいます。「IPOホッパー」と呼んでもいいかもしれません。所属する企業が上場すれば大金が手に入るため、IPOのプレ情報が入ると、転職を試みるわけです。

では、どうやってその情報をキャッチするか。人材の流れを見るんです。

たとえば、フェイスブックが上場する前は、グーグルから大量のエンジニアが流れました。

すると、「そろそろIPOだな」とわかります。IPO前の企業情報が流れる“2ちゃんねる”のようなサイトの書き込み、あるいは友人からの話でも、情報は容易に得られます。

私もそういった情報を集めることで、スプランクもそろそろIPOすることがわかり、それを狙ってアプライ(応募する)してみました。私がスプランクに入社した2012年当時は、クラウドの次にビッグデータがくるという話も出ていたので、将来性があると判断したのも理由です。

当時はSNSが盛んで、ほとんどのエンジニアがWEB系に興味をもっていました。そのころに(次の世代に来ることになる)一見つまらなさそうなビックデータ産業に入り込んだのは、よい選択だったと思います。

日本では最近になってAIや機械学習が流行り、プログラミング言語のPythonを習い始める人が出てきました。

私は、アメリカに来た2006年からPython言語に目をつけて学んでいたので、この転職時にはすでに6年のPython経験がありました。準備していた技術がバッチリとマッチしたため、転職が成功したともいえます。

エンジニアは、目の前にある技術に飛びつくのではなく、未来を先取りした技術習得が必要だということですね。

こうして12回の面接を経て、無事スプランクに採用されました。その1週間後、スプランクは株式上場。これは自分でもうまくいったな、と思っています。

私は入社1週間後の上場だったので、ストックオプションはそれほどもらえなかったのですが、入社5年目だと5億円くらいはもらっていたと思います。

ランチタイムの会話も、BMWを買ったとか、世界旅行するとか、レストランの2軒目を購入したとか、スケールの大きな話がよく出ました。

当時はウーバー(配車アプリ)もまだなく、急にタクシー通勤を始める社員もいました。上場前と後では、社内の雰囲気もまったく違いました。懐が潤うと心に余裕ができるのか、社員同士の言い争いもなくなりました。

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