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仕事とは「人に役立つ暇つぶし」? オリラジ中田敦彦は、なぜ銚子電鉄とコラボするのか

2019年05月22日 公開
2022年09月15日 更新

『Voice』編集部

中田敦彦、竹本勝紀
 

竹本勝紀(銚子電気鉄道株式会社代表取締役社長)
1963年、千葉県生まれ。慶應義塾大学卒業。銚子電気鉄道顧問税理士、社外取締役を経て、2012年に同社代表取締役に就任。16年には電車の運転免許を取得。竹本税務会計事務所代表。大学の非常勤講師としてマーケティングなども教える。

中田敦彦(お笑い芸人/実業家)
1982年生まれ。慶應義塾大学在学中に藤森慎吾とお笑いコンビ「オリエンタルラジオ」を結成。2016年には音楽ユニット「RADIO FISH」としてNHK紅白歌合戦に出場。18年、オンラインサロン「NKT Online Salon」を開設。アパレルブランド「幸福洗脳」を立ち上げ、経営者としての手腕も注目されている。最新著は『労働2.0 やりたいことして、食べていく』(PHP研究所)。

いま、「日本一のエンタメ鉄道」と話題を呼んでいる鉄道会社がある。千葉県銚子市のローカル鉄道・銚子電気鉄道(銚子電鉄)である。近年、沿線の過疎化などから鉄道事業が落ち込んでいる一方で、車両内や駅舎をお化け屋敷としたイベント「お化け屋敷電車」や、煎餅などの商品を開発・販売するなど副業にも力を入れることで経営改善にチャレンジしている。

今回、そんなユニークなビジネスを仕掛け続ける銚子電鉄の竹本勝紀社長との対談に臨むのは、お笑いコンビ「オリエンタルラジオ」の中田敦彦氏だ。中田氏は芸能活動と並行してアパレルブランド「幸福洗脳」を経営し、新著『労働2.0 やりたいことして、食べていく』(PHP研究所)は3月の発売直後に増刷。今春からは青山学院大学経営学部の客員講師も務めている。

現在、銚子電鉄と中田氏の間では、さまざまなコラボが進行中だが、今回は、その発端となった対談をお届けする。

※本対談の全文はVoice7月号(6月10日発売)に掲載予定です。
 

「人に役立つ」精神が仕事のベース

【竹本】 こうして中田さんとお話しできるのを、心待ちにしていました。というのも、『労働2.0』を拝読して心から感銘を受けたのです。

【中田】 僕も竹本社長とお会いできて嬉しいです。『労働2.0』には、いまの日本人に伝えたいメッセージを余すところなく詰め込んだつもりです。日本のビジネスパーソンは、不満を抱えながらも会社の方針に従っている人が少なくない。そうではなくて、「自分がしたいこと」を実現するために自分からアクションを起こすことが、分野を問わずにイノベーションに繋がるし、最終的には日本を元気にする。僕はそう考えています。

【竹本】 本書には多くの印象的な言葉が散りばめられていました。とくに心に刺さったのが、「仕事とは、『人に役立つ暇つぶし』」というフレーズです。

【中田】 ありがとうございます。なぜその言葉が印象に残ったのでしょうか。

【竹本】 中田さんは、人間とは「時間があれば何かしたい。それも、できれば周囲に役立つことをしたい」と考える生き物だとされていますよね。私が社長を務める銚子電鉄は、一時は廃線寸前まで追い込まれましたが、鉄道以外のさまざまな事業を展開して経営を改善しました。背景にあったのは「地域の皆さまのために」という一心でした。中田さんが指摘されるように「人に役立つ」という精神が仕事の根幹にはあるべきだと私も思います。
あと一つ、今日お伝えしたかったことがあります。それは、私にはどうしても中田さんが「赤の他人」とは思えないということです。

【中田】 どういうことでしょうか。念のために確認しておきますが、竹本さんと僕がじつは遠い親戚というわけではないですよね?(笑)

【竹本】 そんなオチではありません(笑)。私は『労働2.0』で中田さんの考え方に触れて、他人とは思えないほど深い共感を覚えたということです。
われわれは鉄道会社ですが、本業の傍らで「まずい棒」という菓子を開発して販売しています。もちろん味が悪いのではありませんよ(笑)。「まずい」というネーミングは再び悪化している現在の経営状況にかけています。お察しのとおり、某人気菓子からインスピレーションを得たオリジナル商品ですが、いわゆる「パクリ」ではない。根底にはリスペクトの精神があります。

【中田】 ヒット作に嫉妬するのではなく、何かを学び取ったうえで自分の仕事に活かす。そんなマインドが大切だと、僕も『労働2.0』で書きました。

【竹本】 だからこそ、「私と非常によく似た考えをおもちの方だな」と感じたのです。「まずい棒」は昨年(2018年)8月に発売を開始して半年で60万本を突破しました。最初はコーンポタージュ味のみでしたが、今年3月にはチーズ味も販売開始しています。
いま、銚子電鉄は文字どおり「なんとか生き残っている」経営状況です。路線は銚子市内の6.4kmのみで鉄道事業は毎年約1億円の赤字。車両も他社からの「お下がりのお下がり」で、製造から50年以上が経っている。それでも「地域の足」である鉄道を守るために、さまざまな事業に懸命に取り組んでいるのです。

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