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経済自由主義が曲がり角を迎えた19世紀後半

2019年08月30日 公開

関眞興(歴史研究家・元駿台予備学校世界史講師)

関眞興※写真はイメージです。

現代の地続きの問題を多く生み出した19世紀。この時代をよく理解するためには、どのような視点をもてばいいのだろうか。帝国主義と列強間の対立に明け暮れた世紀を展望する。

※本稿は、関眞興著『19世紀問題』(PHP研究所)より、一部抜粋・編集したものです。

 

19世紀を大きく4つに区分けしてみる

現代との関連を理解するため、19世紀の世界史を国家・国別ではなく時間別に区分してみるのも興味深いものがあります。

といっても、どのように区切るかは地域の特性などが反映するため簡単ではありません。あくまで理解のための図式化だと受け止めてください。

ヨーロッパの場合、ナポレオン戦争が終わった1815年くらいまでが第1段階になるでしょうか。

ここで、19世紀の基本理念ともいえる自由主義や国民主義が誕生し、人々に認識されました。

ラテンアメリカ世界の場合、この時間的区分から少しずれますが、宗主国から独立し、国民国家が成立していることを付け加えておきます。

第2段階は1848年までと考えるのが妥当ではないでしょうか。政治的には、ウィーン反動体制の下、比較的平穏な時代でしたが、ヨーロッパ大陸で産業革命が始まります。

それは新しい社会階級になる労働者を生み出します。そして彼らの自覚が48年のヨーロッパ全域での大変動になりました。しかし、労働者は具体的に大きな力にはなりませんでした。

そして1870年前後までが第3段階になります。この時代こそ、第1・第2段階を踏まえ、国民国家が成立し、また各国でさまざまな改革が行なわれた時期です。

ロシアの農奴解放令、アメリカの奴隷解放宣言など多くの人々に自由とは何であるかを認識させることになりました。

そして1870年代以降、各国で完成した産業革命を前提に、とくにヨーロッパ経済に新しい傾向が生まれます。資本主義が一歩進んで、「帝国主義」といわれる段階に入り、経済の自由主義が、大きな曲がり角を迎えました。

さらにこの段階では列強の植民地を巡る対立が激化し始めます。それを背景に軍国主義的傾向が高まり、列強間の対立も明らかになってきます。

1904年の日露戦争は19世紀の歴史の総決算になる第一次世界大戦の前哨戦になりました。



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