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「中国共産党の脅威」を生んでしまったアメリカ痛恨の”判断ミス”



2019年09月06日 公開

江崎道朗(評論家)

 

アメリカの誤った対応が生み出した「アジアの悲劇」

秘密工作、インテリジェンスを踏まえた近現代史研究をこうした北朝鮮と台湾の動向について、日本人の大半がなぜか無関心、他人事だ。北朝鮮の核開発も、中国による台湾「侵略」の危機も、自分たちの問題として考えていない人が大半だ。

日常生活に忙しい庶民はそれもやむをえないと思うが、日本の平和と安全に責任を持つべき政治家や官僚たちの大半も、いざとなればアメリカがなんとかしてくれると、思い込んでいるふしがある。

少なくとも永田町で10年近く政策スタッフとして仕事をしてきた経験からいわせてもらえば、北朝鮮の「核開発」や台湾「危機」に関心を持つ政治家、官僚はある程度存在しているが、それらの「危機」に対応するのはアメリカであって、日本が主体的に対応しなければならないと考えている人はごく少数にすぎない。

だが、いざとなれば、アメリカがなんとかしてくれるのだろうか。

少なくとも近現代史を振り返るかぎり、その答えは「ノー」である。
1946年に始まった中国大陸での中国国民党政権と中国共産党政権による、いわゆる「国共内戦」と、1949年10月の中国共産党政権の樹立も、1950年6月に起こった朝鮮戦争も、アメリカが間違った対応をした結果、引き起こされたという側面があるのだ。

アメリカはしばしば、重要な判断を間違い、アジア太平洋に悲劇をもたらしてきた。なにしろアメリカは、敵と味方を取り違える天才なのだ。

その事実が、アメリカをはじめとする関係各国の情報、特に外交機密文書の公開とその研究によって徐々に明らかになってきている。

政治、特に国際政治というのは、その当時、マスコミによって報じられた「事象」だけで判断することはできない。その「事象」の背後には、関係各国首脳の様々な「思惑」や、関係各国による「秘密工作」が渦巻いているのだが、その「実態」の一端を知ることができるのは、各国がそうした
「インテリジェンス」に関する情報を公開した「あと」になる。

民主主義を採用するアメリカなどは「30年公開原則」といって、原則として30年経ったあと、機密文書を公開し、政治、特に秘密工作などに対する有権者の適切なチェックを可能とする仕組みを整えている。

秘密工作、インテリジェンスは文字通り、秘密裡に行われることが多い。そのため、民主主義のチェック機能が働かないことになりかねない。そこで、その秘密工作が果たして本当に国益に合致したものだったのか、後世の歴史家たちによって適切に評価される仕組みを整えることで、秘密工作やインテリジェンスの暴走を抑止するとともに、同じ間違いを繰り返さないように賢くなっていくことが重要だと考えているからだ。

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アメリカにすべてを委ねることは、日本にとって危ういこと >



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