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ヒカル、ライバロリ、もこう、よしなま…京アニ支援で発揮した「YouTuberの影響力」

2019年09月12日 公開
2019年09月19日 更新

伊藤弘了(映画研究者)

有名YouTuberによる「影響」の連鎖

伊藤弘了事件現場近くの献花台

 

募金を後押しした一因として、有名YouTuberによる一連の動画投稿があったことにも触れておこう。

7月20日にYouTuberのヒカル(チャンネル登録341万、8月28日現在)が、100万円を募金する動画をツイッター(フォロワー約100万人)にアップした。

これを皮切りに、7月22日にはポケモンの対戦実況動画で知られるライバロリ(チャンネル登録48万)が29万円を募金する動画をYouTubeにアップし、23日に同じくポケモンの対戦実況動画で人気のもこう(チャンネル登録74万)が99万円の募金を報告する動画を上げ、24日にゲーム実況者のよしなま(チャンネル登録57万)が2人に影響されて50万円を募金したと報告した。

興味深いのは、彼らが一様に「影響力」について語っている点である。

ヒカルは募金の動画をアップしたツイートに続けて「ある程度影響力を持たせてもらってる僕だからこそここでこうしてツイートしてます」と述べているが、実際、ライバロリは自身の動画内で募金に際してヒカルの影響があったことを明言している。

募金を報告する動画内で三者全員の名前を挙げているよしなまは、とりわけ私的な交流のあるライバロリともこうの影響が強くあったことを告白している。

また、動画のコメント欄には彼らに感化されて自分も募金した、あるいは募金しようと思うというコメントがいくつも寄せられており、「影響」の連鎖を見てとることができる。

今日的なメディア環境において、有名人が自身の「影響力」をポジティヴに行使した事例としてここに銘記しておきたい。

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