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「育児は母親がすべき」は“神話”にすぎない

2019年09月10日 公開

山口慎太郎(東京大学経済学部准教授)

誰が育てるかではなく、「育て方」が重要

――どういうことでしょうか。

【山口】 ドイツでは1979年から1993年にかけて育休改革が行なわれ、育休期間が3年に延長されました。その政策評価によると、育休期間が延びたことで、母親が家庭で子供を育てる期間が長くなっています。

言い換えると、育休改革後に生まれた子供たちは、改革前に生まれた子供たちよりも母親と過ごした期間が長い。そのため、母親が育児に関わったことによる影響を検証することができます。

検証の結果、生後に母親と一緒に過ごした期間の長さは、子供の将来の進学状況や労働所得にほとんど影響を与えないことがわかったのです。

同様の結果は、オーストリアやスウェーデンなどの政策評価でも確認されています。

――子供の成長に影響するのは、むしろ「育て方」のほうであるということでしょうか。

【山口】 はい。育児をするのは必ずしも母親でなくてもいいけれど、子供にとって育つ環境は重要です。

たとえば、適切な訓練を受けた保育士が世話をすれば問題ありません。育児は保育士にある程度任せて、母親は仕事に出ていても、子供を健やかに育てることは可能なのです。

「よい保育士」を見極める指標としてよく使われるものには、保育士1人当たりの子供の数や、保育士になるための訓練期間が挙げられます。

これらの観点からみて、日本の認可保育所は先進国の平均を上回っているため、特別な心配をする必要はないでしょう。



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