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「攻撃(テロ)再燃ある」元IRA民兵の警告

2019年09月24日 公開
2023年02月01日 更新

岡部伸(産経新聞社論説委員/前ロンドン支局長)

両派の住民の和解は進んでいない

実際、ベルファストでは、経済的な発展とは裏腹に、いまなおプロテスタント系とカトリック系住民の和解が進んでいない。

両派の衝突を避けるため、英政府が建てた居住地域を隔てる通称「平和の壁」と呼ばれるコンクリートの高い壁が50以上残り、モザイク状に分断されたままだ。

住み分けは続き、昼間は自由に往来できるが、夜は監視カメラ付きの扉が施錠され、一部の壁はフェンスを高くした。

学校教育も両派で分かれ、両派の子供たちが同じ学校で学ぶ統合教育は進んでいない。

「日本に侵入者がやって来て、突然『国境』を作ったら、日本人はどう思うだろうか。アイルランド島内の国境は、英国人が侵略してきて勝手に作った。その国境が復活すれば、英国、アイルランドを問わず、攻撃される可能性を排除しない」

筆者が取材したカトリック系の住民で、IRA(アイルランド共和軍)の元民兵は力を込めてこう語った。英国の植民地支配の象徴であった国境が復活すれば、過去のように攻撃(テロ)もあると警告する。

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