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「日本はもっと自衛隊を増強すべき」 知日派の安全保障専門家が提言

2019年10月24日 公開
2023年01月13日 更新

マイケル・オースリン(スタンフォード大学フーバー研究所リサーチフェロー)

マイケル・オースリン

良好な日中関係構築の鍵は日本の指導力

――日本にとって中・長期的に最大の脅威である中国に対しては、どう向き合うべきでしょうか。

【オースリン】 日中関係においても、日本は「同心三角形」戦略に基づき、アジアで主導的な役割を担うべきでしょう。日中関係は、日本と他のアジア諸国との関係の関数になります。

日本がアジアでアクティブかつ協力的でイノベーティブになるほど、中国との関係も良くなると思います。中国はアジアでの日本の強さを認識し、無視することができなくなるからです。

両国はアジアの大国として共存する方法をまだ見出していない。一方の国が強くもう片方の国が弱ければ簡単ですが、両国が強い場合に良好な関係を維持するのは難しくなります。

安倍政権下での日本をみると、安定したリーダーシップが7年近く続いています。猛烈に成長はしていないものの、安定した成長です。

中国からすれば、日本が自衛隊の能力を向上させることで、日本をメジャー・プレイヤーと見なして対峙しなければならなくなる。

――一定の力を日本がもつことで、中国との真っ当な関係を築く基盤ができるのですね。

【オースリン】 アメリカはいつかアジアからいなくなるかもしれませんが、日本と中国はそのまま残ります。日中関係は今後さらに、アジアの中心的なイシューになるでしょう。

日中は互いにアジアでの影響力やパワーを求めて激しく競争している一方で、協力したいと考えています。

経済分野では、日米が牽引するADB(アジア開発銀行)と、中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)が対立している構造ですが、日本は開発援助をもっと進めるべきです。

民主主義のイシューについては、リベラリズムを求めているアジア諸国は多い。彼らは自国民の可能性を発揮し、自由を与える方法を見出したいと思っています。

そこで日本の出番です。日本は韓国や台湾とも連携を深め、安定した民主国家を維持する方法について、アジアでリーダーシップを発揮して広めていくべきでしょう。

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