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若手男性官僚の7人に1人が「数年以内に辞職したい」のはなぜか

2020年09月11日 公開

松井孝治(慶應義塾大学総合政策学部教授)

若手官僚が「辞めたい」と思う理由

コロナ禍を契機に、さまざまな統治上の課題が噴出している感のある今日、国会の問題、内閣と行政各部の関係、国と地方の関係や、政府の執行力の強化などを再度総合的に見直してみる必要があるのではないだろうか。

平成の30年間では政治・官邸主導が進み、第二次安倍政権で集大成を迎えた。私は、官僚時代から一貫してその流れを推進してきた立場だが、さまざまな課題が存在する。

各府省における幹部職員人事についていえば、人事権が各省大臣と総理、官房長官にあることは当然だが、それら幹部人事を第三者的に評価する仕組みを整備すべきだ。

対象に一定の絞り込みをかけ、能力実績を多角的に評価するとともに、府省や官民の垣根を超えて役職に相応しい有為な人材が登用されるような任用体制の整備も必要だ。偏った政治的応答性のみによって評価処遇されるといった風評を払拭するためにも、制度の補完が急務である。

霞が関の働き方も見直しが必要だ。内閣人事局のアンケートによると、非管理職・30歳未満の男性職員のうち7人に1人が「数年以内に辞職したい」と答えたという。

これは、働き方改革の問題もさることながら、官邸の意向や省庁間の事務的な調整、そして既述の国会対応に追われ、骨太な中長期的政策課題に官僚が主体的に取り組む機運がまったく盛り上がっていないことに起因するのではなかろうか。

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