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熊谷俊人・千葉市長「リーダーに必要なのは“自らの言葉”で語る覚悟」

2020年10月09日 公開
2020年10月12日 更新

熊谷俊人(千葉市長)

市民からの「信頼貯金」をどれだけ貯めているか

――千葉市はハンマーとダンスをどう使い分けているのでしょうか。

【熊谷】1月下旬の段階ですでに、ハンマーだけではなくどこかでダンスが必要になると想定していました。一見すると命のリスクを軽視していると思われる政策でも、市民の生活を長期的に考慮すれば経済を回さなければいけない。

その重要な決断を下す際、市民からの「信頼貯金」をどれだけ貯めているかが勝負になります。2月下旬に千葉市で初めて学校職員からコロナ感染者が出た際、私はすぐさま記者会見を開きました。

ここは市長自らが表に出て、自分の言葉で市民に訴えなければ信頼は得られないと確信したからです。市長はつねに市民と共にあり、いざというときは自らが全責任を負う。そのくらいの覚悟がなければ、リーダーが務まるはずがありません。

――感染者数を抑えるための政策によって別のリスクが生じていることに、一般の市民はなかなか想像が及びにくいかもしれません。

【熊谷】自分たちが進めたい政策があるならば、それが必要な理由を「さらっと」説明するのではなく、詳細にかつ強く訴えないといけないんです。

社会とはそもそも一定のリスクを内包しており、ゼロリスクをめざすのは現実的ではありません。

だからこそ、一つの政策を行なう際、そこから生じるデメリットをどこまで許容できるのかについて、丹念に説明する責任がわれわれにはある。

新型コロナは未知のウイルスである以上、リスクの幅を大きめに見積もり、今後も適切な均衡点を見極めて市民とコミュニケーションをとらなければなりません。

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