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「トヨタ超えの株価」でも、テスラが世界一になれない理由



2020年10月29日 公開

渡邉哲也(経済評論家)

分析

コロナ禍でどの業界も厳しい経営を強いられている。とりわけ苦戦している業種の一つが「自動車メーカー」だ。外出自粛やテレワークが日常化したことで、自動車の売れ行きは芳しくない。そんななか、米電気自動車(EV)メーカーのテスラの勢いがすごい。

はたして、テスラに隙はないのか。「世界の覇者」ヨタをはじめ日本の自動車メーカーが勝つ術はないのか。本稿では、企業コンサルタントとしても活躍する人気経済評論家・渡邉哲也氏が、テスラの強さと課題、今後期待される日本の自動車メーカーについて解説する。

※本稿は、渡邉哲也氏の新著『世界と日本経済大予測2021』(PHP研究所)の内容を編集したものです。

 

明るい兆しが見えない宇宙事業

2020年7月、米EV(電気自動車)大手のテスラの株価が上昇、時価総額で22兆円となって、トヨタを超えたことが話題になった。2020年の年初から7月までに株価が2.7倍に上昇。コロナ禍で各メーカーが苦しむなか、独歩高(ある銘柄だけ値上がりすること)の状況で一気にトヨタを抜き去った。

その後も株価の上昇は続き、トヨタ超えのニュースの6日後には日本車メーカー9社合計の時価総額合計を超えたと報じられた。

合併でもない限り、6日間で企業価値が一気に高くなるとは思えない。中国からの大型投資、一種の仕手株(大きな投資資金を持っている投資家集団によって株価を意図的に操作されている銘柄)の可能性もある。いずれにしても、マネーゲームがもたらした結果にすぎず、どこかバブルの時代を想起させる。

テスラはアメリカで次々と工場をつくり、中国の工場も拡大することが明らかになったものの、この成長モデルが持続する保証はない。

テスラと言えば民間宇宙開発企業・スペースXの宇宙事業ばかりが注目されるが、「弾丸特急」にも意欲を見せている。

真空に近いチューブ内を時速1200キロの猛スピードで駆け抜ける「チューブ列車」の開発に取りかかっている。かつて日本でも、東京│下関間を結ぶ高速鉄道が計画されたが、戦時中に中止、幻となった。

テスラとスペースXのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)肝煎りの宇宙事業も目立ったトピックがなく、株主から不安視されている。チューブ列車も開発途中で頓挫する可能性は考えられる。

こうした「夢物語」を見聞きすると、テスラ・バブルがいつはじけても不思議ではない。ただ、EVの実績があるので、バブルの徒花というレベルのものではないとは思われる。今後の動向を注視したい。

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