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いまも覚えているウイグル族の踊り子の言葉…中国留学で受けた衝撃

2021年05月29日 公開
2021年07月09日 更新

安田峰俊(ルポライター)&ハリー杉山(タレント)

 

バーで出会ったウイグル族の踊り子の言葉

【安田】いま、世界的にウイグルの人権問題が注目されていますが、中国留学中、あるいはイギリスで暮らしていたときにこの問題に触れる機会はありましたか。

【杉山】ゼロですね。

【安田】やはりそうですか。私も深センに一年間滞在していたとき、話題にあがることはありませんでした。

【杉山】ただし一度、北京のバーで飲んでいたときにウイグル族の踊り子の方がいて、日常会話をしたことはあります。同じ世界に生きていても、これほど異なる価値観や背景で日常を過ごしている人たちがいることに、少なくないショックを受けました。

時間にして30分ほどでしたが、彼女たちは「日本に帰るんですか」「ハリーさんともう少し一緒にいたい」と話してくる。先進国の国籍をもつ外国人と結婚できれば、違う世界へのチケットを手に入れられるからです。有り体にいえば、社会的地位が一気に変わるわけです。

【安田】ハリーさんがいた当時の中国であれば、普通の中国人にも似たような感覚があったでしょう。

【杉山】たしかに、1万円という金額の価値について大きな差があると知ったときには、この世界にはさまざまな国や地域の現実があるのだと痛感しました。

日本人はどうしても、外の世界で起きていることは対岸の火事という意識が強い。それは、日本があまりにも安全な国であることが関係しているのでしょう。でも、やはり積極的に海外に足を運んで世界の厳しい現実を知るべきだと思う。僕自身、中国に留学したことで人生観がガラッと変わりましたから。

 

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