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人類は800年間も「ウィズコロナ」をやってきた!?



2021年06月01日 公開

宮沢孝幸(京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授)

宮沢孝幸

新型コロナウイルスを未知のウイルスといわれるが、実際は「既知すぎるぐらい既知のウイルス」という。そもそも新型コロナウイルスとはどんなウイルスなのか? 「ゼロコロナ」の日は本当に訪れるのだろうか?

※本稿は、宮沢孝幸 著『京大 おどろきのウイルス学講義』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです。

 

人類は鎌倉時代から「ウィズコロナ」?

「新型コロナウイルスはいつ終息しますか?」と聞かれることがあるのですが、よくわかりません。何十年間も続くかもしれません。

風邪のコロナウイルス229Eは、1968年に発見されました。それ以降、毎年、病気を起こしています。52年経った今でも風邪を引き起こしていますので、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)も、今後50年くらいは続いてもまったく不思議ではない。

「ウィズコロナ」と言われていますが、我々は少なくとも52年間は、「ウィズコロナ」をしてきました。

風邪コロナウイルスのNL63に至っては、13世紀頃に発生したと推測されています。日本で言うと、鎌倉時代あたりに生まれたコロナウイルスです。

古文書に詳しい人に聞いたところ、平安時代にはすでにインフルエンザのような疫病が流行したと思われる記述があるそうです。古文書のデータベースがあり、検索できるそうですから、一度調べてみたいと思っています。

もし、古文書の当時の記述に、「味がわからないようになった」とか「砂を噛むような感じがした」という記述があったとすれば、NL63のコロナウイルスだった可能性がありますね。

ちなみに、なぜNL63が13世紀頃に発生したと推測されているかと言えば、変異のスピードの計算に基づいています。ウイルスの変異のスピードを調べることによって、いつ頃そのウイルスが生まれたかを推測できるんです。

変異のスピードから計算をすると、他のウイルスから分かれてNL63という新しいウイルスになったのが約800年前と計算できるわけです。

「コロナウイルスは変異が速い」と誤解されていますが、コロナウイルスの変異のスピードは決して速くはありません。52年前に誕生した229Eコロナウイルスは、ほぼ同じウイルスが今でも毎年流行しています。

2本鎖のDNAウイルスと比べると1本鎖のRNAウイルスは変異のスピードが速いのですが、RNAウイルスの中では、コロナウイルスは変異のスピードが遅いウイルスです。

RNAウイルスの中でも、変異の速いヒト免疫不全ウイルス(HIV)(エイズの原因ウイルス)はバリエーションがとても多く、変異が遅いコロナウイルスのバリエーションは同一ウイルス内ではHIVほどではありません。

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