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「誰もがネット空間に住む時代が来る」note加藤貞顕CEOが予測する未来

2021年07月20日 公開

加藤貞顕(note株式会社代表取締役CEO)

 

noteの急成長を支える「グロースモデル」

グロースモデル

――noteはこの一年で会員数は1.8倍、総記事数は2倍に増えました。急成長の理由をどう認識されていますか。

【加藤】成長のためにさまざまな取り組みを行なってきましたが、根本的には、我々が独自に作成したグロースモデル(図)で説明できます。noteのようなプラットフォームでは、「クリエイターが集まる」「コンテンツが増える」などがKPI(重要業績評価指標)として挙げられます。

ただ、これらのどれか一つだけを伸ばしても、別の指標が停滞してしまってはいけません。たとえば、仮に「コンテンツが増える」というKPIを向上させても、記事が増えたことで本当に読みたいコンテンツが発見しづらくなる可能性がある。その状態を放置すれば、結局はサービスの価値を下げてしまいます。

――一つの指標の向上に固執する裏で、それを上回るほどのネガティブな影響がサービスに生じてしまえば、まさしく本末転倒ですね。

【加藤】たとえば、私たちの身体に照らし合わせれば、健康のために痩せようと思ったとき、過度に食事を制限してしまえば、かえって体調を崩してしまうリスクがあります。

これは「体重」だけをKPIに設定しているがゆえに起こる弊害です。最終的なKPIは「健康」や「幸福」に設定すべきで、そうすれば自ずと適度な運動やバランスの良い食事へと意識が向くでしょう。

noteでは、一つの指標に注力しすぎるのではなく、それぞれの相互作用をつねに意識しています。図の矢印の施策を伸ばしていくサイクルをつくり、バランスよく成長できるように施策に取り組んでいく。これこそが、noteの成長の根幹を成す構造です。

――昨年来のコロナ禍による「巣ごもり需要」の影響はありましたか。

【加藤】たしかに、結果として追い風になりました。家にいる時間が増えたことで、必然的にネットに触れる機会が増加しました。

noteを利用してくださっている方々でいえば、ユーザーであれば面白そうな投稿を探したり、クリエイターであれば自分が営業している店の窮状を訴えたり、新たなビジネスについて発信したりと、具体的な使い方はさまざまです。

ただし中長期的にみれば、人びとがネット空間に「住む」動きは、コロナ禍が発生せずとも進んでいたでしょう。都市部に比べて地方に暮らす人は比較的ネット利用時間が短いと思いますが、それでもいずれは日本中の誰もが一日の大半をネット空間で過ごす日が到来します。その「いつか訪れるはずの未来」を、コロナ禍は加速させたにすぎないのです。

――コロナ禍を奇貨として、日本の課題だったデジタル化も進みましたね。

【加藤】アメリカのGAFAやテスラは、すでにデジタル空間に「本拠地」を置いてビジネスを展開しています。彼らはデジタルでコンテンツを蓄積し、顧客と継続的にコミュニケーションをとっています。そんな現状を尻目に、リアル空間にとどまる日本企業の多くがGAFAの後塵を拝しているのはいうまでもないでしょう。

では、そうして人びとがネット空間に滞留する時間が増えるなかで、noteとしては何ができるのか。それは、ネット空間に住む人たちに「住所」を提供することです。

現実世界では、皆さんが基本的には住居をもっていますよね。同じように、デジタル空間でも多くの人が集まり、コミュニケーションをとり、価値観を共有するようなプラットフォームが必要になるはずです。noteはその本拠地になりたい。ネット空間に住む誰もが、便利で豊かな生活を送ることができる。それこそ、我々が本質的にめざす社会です。

 

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